醜い世界において、ワクチンは称賛に値する美しい贈り物である[英エコノミスト]
![醜い世界において、ワクチンは称賛に値する美しい贈り物である[英エコノミスト]](/content/images/size/w1200/2023/10/394384597.jpg)

10月2日、生化学者のカタリン・カリコと免疫学者のドリュー・ワイズマンに授与されたノーベル医学賞は、偉大な負け犬の物語を締めくくるにふさわしいものである。RNAを細胞に取り込もうとするカリコ博士の洒落にならない主張が、彼女のキャリアを後退させた。カリコ博士の粘り強い努力の結果、2人はまったく新しい方法で、脅威に対する免疫システムの呼び水となる技術を開発したのである。コロナ・パンデミックが発生したとき、彼らが可能にしたmRNAワクチンは何百万もの命を救い、さらに何十億もの人々が再び普通に生きられるようになった。
彼らの受賞は異例である。過去にワクチン接種の分野でノーベル賞を受賞した科学者は、1930年代からワクチンとして使用されている黄熱ウイルスの弱毒株を発見したマックス・タイラーだけである。ジョナス・ソークもアルバート・サビンも、ポリオワクチンの開発では受賞していない。天然痘の根絶も祝福されなかった。