![中堅企業はGAFAMをニッチ市場で打ち負かせる[英エコノミスト]](/content/images/size/w2640/2023/09/401843625.jpg)
中堅企業はGAFAMをニッチ市場で打ち負かせる[英エコノミスト]

米大手テクノロジー企業(ビッグテック)はますます大きくなっている。アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフトという米国の5大デジタル企業の時価総額は、今年に入ってから半分の約9兆ドルに急騰した。これは、米国の大企業で構成される株価指数S&P500の合計のほぼ4分の1にあたる(S&P500はこの期間に17%しか上昇していない)。この5社は、売上高、利益、研究開発費の60%近くを占めている。彼らは人工知能(AI)革命の主な勝者になると広く期待されている。
各国政府は、この優位性をますます危惧するようになっている。9月12日、米国の司法省は、グーグルとその親会社アルファベットとの間で、インターネット検索の独占を乱用しているとして、過去20年間で最大の反トラスト法裁判を開始した。 今月、EU法は大手5社をデジタルの「ゲートキーパー(門番)」と位置づけ、一部のサービスをバンドルしたり、プラットフォーム上で第三者を差別したりすることを禁じた。大手企業は巨大化し、テック・エコシステムから酸素を吸い上げているため、チャレンジャーを絶滅に追い込むか、せいぜい他の企業が繁栄するのを難しくしている、と世界のフィンテック新興企業たちは主張する。Snap、Spotify、Zoomに尋ねてみればいい。
しかし、自然の生態系と同様、商業的な生態系も新規参入者にチャンスを与える。投資家が期待する驚異的な成長率を維持するために、大手5社は、昨年合計で15億ドルに達した収益に意味のある変化をもたらすのに十分なほど広大な市場に最も注意を払っている。つまり、規模は小さくとも潜在的に利益を生む可能性のある特定の分野を無視しているのだ。そのようなニッチを特定し、それを利用することができる独創的な企業は、単にやり過ごすだけでなく、大企業の影で繁栄することができる。
Garminを例に上げてみよう。1989年に設立されたGarminは、GPSナビゲーション・システムの商業利用のパイオニアである。2008年までに、同社はポータブル・ナビゲーション・デバイス市場のほぼ3分の1を獲得し、そのほとんどが自動車のダッシュボードに取り付けるタイプのもので、同社の売上高の約72%を占めていた。その後グーグルは、まず2008年にアンドロイド・スマートフォン向けに、そして4年後にはiPhone向けにグーグルマップ・アプリをリリースした。自動車利用者は、専用のデバイスを購入する代わりに、携帯電話で道を検索できるようになったのだ。2014年までに、Garminの自動車部門からの収益は6年前と比べて半分の12億ドルに落ち込んだ。