中国がAIの軍事利用で米国をリードか?

中国がAIの軍事利用で米国をリードか?
Photo by STNGR Industries on Unsplash

要点

AIの軍事利用について、中国が米国をリードしていると米国防総省元幹部が警鐘を鳴らした。軍事力の均衡とその結果のつかの間の平和を壊すのはAIなのだろうか。


米国防総省のサイバーセキュリティ強化に3年間携わり、米空軍の初代チーフ・ソフトウェア・オフィサーを務めたニコラ・シャイアンはフィナンシャル・タイムズのインタビューに対し、米国はすでにAIとの戦いで中国に負けていると語り、北京が世界を支配する方向に向かっているのは、人工知能(AI)、機械学習、サイバー能力が他国より進歩しているからだと語った。

シャイアンは中国がメディアのシナリオから地政学まであらゆるものを支配し、世界の未来を支配するようになると主張した。また、米国のサイバー防衛力は、一部の政府機関では「幼稚園レベル」であると語った。

また、GoogleがAIに関して米国防総省との協力に消極的であることや、AIの倫理をめぐる広範な議論が米国の動きを鈍らせていると非難した。対照的に、中国企業は北京と協力する義務があり、倫理を無視してAIに「大規模な投資」を行っているという。

チャイランは、米国の防衛費が中国の3倍であることを認めた上で、米国の調達コストが非常に高く、間違った分野に使われているため、余分な資金は重要ではないと述べ、一方で官僚主義と過剰な規制が、ペンタゴンで必要とされている変革を阻んでいると語っている。

この種の警鐘が鳴らされるのは今回が初めてではない。Googleの元最高経営責任者(CEO)はエリック・シュミットは今年3月、自らが委員長を務める「人工知能(AI)に関する国家安全保障委員会」(NSCAI)の報告書で、米国は軍事力へのAI活用について他国に後れを取る恐れがあるとして、警鐘を鳴らしていた。

全756ページの報告書の編纂を手動したシュミットと副議長のロバート・ワーク(元国防副長官)は、「アメリカはAI時代に防衛したり競争したりする準備ができていない」と厳しい警告を発し、アメリカの準備や専門知識の不足に立ち向かうには、さまざまな分野が協力し合う必要があると付け加えていた。

NSCAIの報告書によると、民間企業ではAIツールの開発が進んでいるにもかかわらず、"先見の明のある技術者や戦闘員は、時代遅れの技術、煩雑なプロセス、時代遅れの目的や競合する目的のために設計されたインセンティブ構造に大きく阻まれている "としています。将来的にAI主導のグローバルな戦場に立ち向かう準備をするためには、国防総省は組織文化の面でパラダイムシフトに近いものを受け入れなければならない、と報告書は書いている。

GoogleのCEOと会長を務めたシュミットは、軍事におけるソフトウェア主導の時代を迎えたと主張している。「AIを統合する上での障害は数多くある。国防総省は長い間、船や飛行機、戦車などのハードウエアを中心とした企業だった。現在は、ソフトウェア集約型の企業へと飛躍しようとしている。しかし、工業化時代や冷戦時代に作られたレガシーシステムには、いまだに予算が集中している。省庁のプロセスの多くは、いまだにパワーポイントや手作業に依存している」。

「また、機械学習(ML)に必要なデータは、縦割りであったり、散らかっていたり、廃棄されていたりすることが多い。プラットフォームが分断されている。買収、開発、実戦投入のプロセスは、ほとんどが硬直した連続プロセスに従っており、AIに不可欠な早期かつ継続的な実験とテストが阻害されている」

国防総省、特に米空軍は、センサーやナビゲーション、自律型UAVの補給ミッション、さらには無人戦闘機への応用を視野に入れて、近年AIツールの開発を進めている。昨年、AIで制御された仮想F-16は、5ラウンドの仮想ドッグファイトで空軍のトップパイロットに勝利した。また、米空軍はボーイング社、ジェネラル・アトミクス社、クレイトス社と契約を結び、近い将来、人間の飛行士と一緒に飛行する自律型の「忠実な」ドローンを製造している。米国国防総省が注目しているAIの用途はこれらだけではなく、実際には、戦場におけるAIの潜在的な用途のごく一部に過ぎない。

2023年後半にAI戦闘機が登場する
模擬戦闘で空軍パイロットを圧倒
ACEが行った青2機が敵の赤2期と戦うシミュレーション。Image via DARPAtv https://www.youtube.com/watch?v=Sd8ryTWOjBg
ACEが行った青2機が敵の赤2期と戦うシミュレーション。Image via DARPAtv https://www.youtube.com/watch?v=Sd8ryTWOjBg

中国は、AIの優位性がいかに戦場の優位性につながるかを鋭く認識しており、AIへの積極的な投資を行っている。2017年、中国政府は、AIを含む技術の進歩により、2030年までに中国が世界のリーダーになるという声明を発表した。

中国軍と中国の防衛産業は、ロボット工学、スワーミング、その他の人工知能(AI)や機械学習(ML)の応用に多大な投資を行っている。これまでのところ、「自律型」(自主)または「知能化」(智能化)と表現または宣伝されている兵器システムの進歩は、無人システム(无人)やミサイル技術の研究開発における既存の強みに基づいている。

しかし、公開されている情報によると、AI/ML対応の自律型兵器システムの開発と潜在的な採用における中国人民軍の軌跡は、依然として不確かなものだ。これらの能力の成熟度や、より高いレベルの自律性を備えた兵器システムが実戦投入されているかどうか、いつ、どの程度なのかは、現時点では自信を持って評価することはできないだろう。

清華大学の『China AI Development Report 2018』によると、AI分野の研究論文における中国の世界シェアは、1997年の4.26%(1,086件)から2017年には27.68%(37,343件)に跳ね上がり米国を含む世界のどの国をも上回っている。その地位を維持し続けている。

中国は一貫して他国よりも多くのAI特許を出願している。2019年3月時点で、中国のAI企業の数は1,189社に達しており、2,000社以上のアクティブなAI企業を擁する米国に次ぐ規模となっている。これらの企業は、海外の企業よりも音声(音声認識、音声合成など)や視覚(画像認識、動画認識など)に力を入れている。

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