マスクが声高に叫んだ「Twitterの言論の自由」とは何だったのか?

マスクが声高に叫んだ「Twitterの言論の自由」とは何だったのか?
2021年7月13日(火)、米デラウェア州ウィルミントンで行われたソーラーシティの裁判で、退廷しながら手を振るテスラ社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)。Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

ニュースレターサービスSubstackは先週、Twitterのクローンを開始した。イーロン・マスクはTwitterからSubstackへのユーザー流入を止める極端な対抗策を打った。これは彼が主張した「言論の自由」を根本から揺るがす措置だった。


Substackがリリースした「Notes」の仕様はほぼTwitterと同じであり、ニュースレタープラットフォームとTwitterクローンの組み合わせが誕生したことになる。Substackはポッドキャストの投稿も可能であり、同社はより大規模なコンテンツ流通プラットフォームを志向しているようだ。

これはTwitterの潜在的な脅威であることは確かだ。同社は今年1月にSubstackの競合であるニュースレタープラットフォームのRevueを閉鎖した。Twitterは、ニュースレターが人気を集めていた2021年1月にRevueを 買収していた。しかし、Twitterがユーザーを誘導しようとしたRevueは負け、Substackが勝ち残った。Twitterからのトラフィック流入を活かして成長したSubstackが、クローンによって本体を食いつぶすシナリオも考えられなくはない。

Notesの画面。Twitterクローンと形容して差し支えないだろう。出典:Substack
Notesの画面。Twitterクローンと形容して差し支えないだろう。出典:Substack

マスクは、Substackを切り離す戦略を採用した。「Substack」という単語を含む投稿に「いいね」やリツイートができないようにし、ユーザーがSubstackのリンクをクリックすると警告メッセージを表示し、ついにはSubstackという単語さえ検索できないようにした(”Substack”で検索すると”Newsletter”にクエリがすり替わる)。SubstackのTwitterアカウントからのツイートに対するやり取りを制限することまでやった。

これによって、SubstackとSubstackで投稿するライターの「言論の自由」は封殺されたと言っていいだろう。

しかし、マスクは、Notes内のSubstack CEO のChris Bestによる投稿に返信し、Substack のリンクをブロックしたことを否定。Substackが「Twitterクローンを立ち上げるためにTwitterのデータベースの大部分をダウンロードしようとしている」と主張した。

日本時間の4月9日午前10時34分の段階で、私が確認したところ、ブロックは行われていない(批判をかわすため解除したのかもしれない)。

Substackは、Notesのリリースの前日、ニュースレターのライターが投資して会社の一部を所有できる資金調達ラウンドを開始した。大手ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツは、SubstackとTwitterの双方に投資している。

Substackの収益化方法は、Twitterに欠けている商取引によるもの。同社は、Substackを通じて読者が作家に支払った金額は3億ドル以上であり、同プラットフォームは現在、200万件の有料購読を含む3500万件以上のアクティブ購読を有していると明らかにした。また、17,000人以上の作家がSubstackで収入を得ており、Substackの上位10社の出版社は合計で年間2,500万ドル以上の収入を得ていることを明らかにした。

Substackの稼ぎ方は、マスクがTwitter Blueの改修で意図していることだと考えられる。マスクは当初は、WeChatのクローンを作ろうとしていたようだが、AppleとGoogleが設定する規約の壁に阻まれたようだ。最近は、フードデリバリーの注文を行えるスーパーアプリへの変身がマスクの関心の多くを占めているように見うけられる。

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