![東南アジアの巨大二輪市場に電動化の波[吉田拓史]](/content/images/size/w2640/2023/07/16_9_21_JAN_22.jpg)
東南アジアの巨大二輪市場に電動化の波[吉田拓史]
東南アジアで、電動バイクへの移行が始まった。サプライチェーンの整備と政府補助金による需要創出が進む中、台湾や中国、地場の新興企業が長きに渡った日系メーカーの支配をひっくり返そうと目論んでいる。
東南アジアで、電動バイクへの移行が始まった。サプライチェーンの整備と政府補助金による需要創出が進む中、台湾や中国、地場の新興企業が長きに渡った日系メーカーの支配をひっくり返そうと目論んでいる。
インドネシア最大の配車企業Gojekと総合エネルギー会社TBS Energi Utama(TBS)の合弁会社Electrumは、インドネシアの西ジャワ州ブカシに電動バイク製造工場の建設を開始した。2024年半ばまでに完成する予定で、年間最大25万台の生産が見込まれている。
工場では当初、年間3,000~5,000台のeスクーターを生産し、部品の40%を現地調達する予定。韓国から輸入したバッテリーセルを利用する計画だが、最終的には国策企業Indonesia Battery Corporationが生産したものを利用する方針という。Indonesia Battery Corporationは中国CATLと韓国LGエナジー・ソリューションと協業し、2026年までに国内で電池生産を開始する予定だ。
Electrumの電動バイクはすでに公道を走っている。同社の500台は、Gojekが展開するバイクタクシーやフードデリバリーに利用されている。公表はされていないものの、Electrumの電動バイクは台湾の電動バイク企業 Gogoroの技術に依存しているだろう。
Electrumは、2022年2月、国営石油ガス企業プルタミナ、Gogoroなどとともに、インドネシアにおける電気自動車(EV)エコシステムの開発を加速させるための協力関係の強化を発表していた。そのひと月前、Gogoroは、台湾を代表する電機企業の鴻海精密工業、Indonesia Battery Corporation、地場電力大手Indika Energyとともに持続可能なEVエコシステムを共同開発することで合意。 Gogoroは、昨年バリ島で開催されたG20サミットでは、同社の電動スクーターを提供し、インドネシアがネット・ゼロの取り組みを売り込むのに貢献した。