ビジョン・ファンド投資家のアブダビ、100億ドルのテックファンドを設立

アブダビ首長国を拠点とする人工知能企業G42は、石油資源の豊富な首長国の支配者一族の主要メンバーに支えられ、新興市場のテクノロジー投資に焦点を当てた100億ドルのファンドを立ち上げる予定だ。

ビジョン・ファンド投資家のアブダビ、100億ドルのテックファンドを設立
Photo by Darcey Beau on Unsplash

アブダビ首長国を拠点とする人工知能企業G42は、石油資源の豊富な首長国の支配者一族の主要メンバーに支えられ、新興市場のテクノロジー投資に焦点を当てた100億ドルのファンドを立ち上げる予定だ。

ロイターによると、このファンドは、アブダビの政府系ファンドADQが昨年設立したアブダビ・グロース・ファンド(Abu Dhabi Growth Fund)と連携して設立される予定だ。 G42とADQはともに、アラブ首長国連邦(UAE)の国家安全保障顧問であるシェイク・タフヌーン・ビンザイードが監督する。

報道によると、新ファンド「G42 Expansion Fund」は、破壊的な技術を持つレイターステージのグロース企業を対象とする予定だ。G42 Expansion Fund は、通信、インテリジェントモビリティ、再生可能エネルギー、ヘルスケアなどの分野における高成長地域に向けられた資金を中心に、プライベートエクイティ投資家として運営される予定。

アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ政府100%出資の投資会社のムバダラは、G42の少数株を保有する。アブダビは世界でも数少ない1兆ドルを超える政府系ファンドを運用しており、石油収入をテクノロジー分野に投入し、経済の多様化を図る取り組みを強化している。

ブルームバーグによると、UAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領の弟であるシェイク・タフンは、アブダビの最近のテクノロジー投資の多くでリーダーシップを担っている。彼の投資先はRoyal GroupからADQまで多岐にわたり、両社は最近、ソフトバンク・グループのラジーブ・ミスラが設立した新しいファンドに資金を投入した。

アブダビはビジョン・ファンド1号の投資家。最近では、ソフトバンクグループ傘下の資産運用会社フォートレス・インベストメント・グループを買収する交渉を進めていると言われる。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)