中国経済は「二番底」に向かっている[英エコノミスト]
2023年6月8日木曜日、中国江蘇省口岸にあるJD.Comの物流施設。Source: Bloomberg

中国経済は「二番底」に向かっている[英エコノミスト]

“The

中国は揺るぎないリーダーシップと安定した経済成長を誇りとしている。そのため、中国の運命は予測しやすいはずだ。しかしここ数カ月、世界第2位の経済大国である中国は驚きの連続であり、熟練したチャイナ・ウォッチャーも経験豊富な投資家も同様に足元をすくわれている。

例えば今年初め、中国がコロナ規制を突然解除したおかげで、中国経済は予想を上回るスピードで成長した。しかし、4月と5月はその逆で、景気回復が予想以上に遅かった。小売売上高、投資額、不動産販売額はすべて予想を下回った。中国の都市部の若者の失業率は20%を超え、2018年に初めてデータが記録されて以来最高となった。現在では、第2四半期は第1四半期に比べて経済がまったく成長しないかもしれないとの見方もある。野村證券のティン・ルーは、中国の基準ではこれは「二番底」だと言う。

中国は第三の予測も覆した。ありがたいことに、中国は世界経済におけるインフレ勢力になり損ねた。今年に入ってからの中国による石油需要の増加は、世界的な指標であるブレント原油の価格が1月のピークから10%以上下落するのを防いでいない。鉄鋼や銅も安くなった。中国の生産者物価(工場出荷時に課される価格)は5月に前年同月比で4%以上下落した。そして人民元は安くなった。米国の労働統計局によると、米国人が中国からの輸入品に支払う価格は、5月に前年同月比で2%下落した。

景気減速の多くは、中国の不動産市場に起因している。今年の初めには、デフォルト(債務不履行)、売り上げの急落、住宅ローンのボイコットといった悲惨な事態から回復したかに見えた。政府は、負債を抱えた不動産開発業者が資金を調達しやすくし、遅れていた建設プロジェクトを完了できるようにした。中国が突然の都市封鎖に見舞われた昨年、不動産購入を控えていた家計は、2023年の最初の数ヶ月、先延ばしにしていた購入を行うために市場に戻ってきた。一部のアナリストは、不動産市場の反発が強すぎて、かつての投機的な勢いが復活するのではないかと心配する余裕さえあった。

この記事は有料会員のみご覧いただけます

購読する
既にアカウントをお持ちの方 ログイン