再エネがテキサスの電力難を救っている

テキサス州では、熱波による記録的な暑さに伴い、電力需要が上昇している。風力発電と太陽光発電がこの急増の多くをカバーしている。再エネには電力供給のアジリティを担保する側面がある。

再エネがテキサスの電力難を救っている
Photo by Thomas Reaubourg

テキサス州では、熱波による記録的な暑さに伴い、電力需要が上昇している。風力発電と太陽光発電がこの急増の多くをカバーしている。再エネには電力供給のアジリティを担保する側面がある。

複数の専門家がCNNに語ったところによると、風力発電と太陽光発電が好調で、日曜日のピーク時には必要量の40%に近い27ギガワットの電力を生み出したことが、電力需要に答えられている大きな要因となっているという。

2021年、テキサス州の電力の約38%を炭素ゼロの電力源(風力、太陽光、原子力)が供給し、42%の天然ガスに匹敵する。

オースチン大学のエネルギー研究者であるジョシュア・ローズ氏は、CNNに対し「風力と太陽光の価格は、他の資源のように過去1年間で2倍になっていないため、燃料価格の高騰に対するヘッジとして機能している」と述べている。

共和党州で成功する再エネ

不思議なことに、アメリカの再生可能エネルギーブームは、テキサス州のような共和党が支配する州で最も強く起こっている。ニューヨークのように民主党が支配する州では、州政府がグリーン電力のみを購入することを約束するなど、投資を呼び込むための政策がとられている。しかし、テキサス州には風力や太陽光が多く、自宅のそばにそれがあるの拒む人の数はむしろ少ない。

テキサスでは、風力タービンやソーラーパネルは、低迷する経済を活性化させるものだ。テキサス州リン郡タホカ市の風力発電所は、2年前にアメリカ市場に参入したデンマークのエネルギー企業、オーステッドが所有している。120基のタービンで構成され、それぞれが1,000世帯分の電力を発生させることができる。隣のセージドローでは、さらに120基のタービンが建設中で、テキサス州の送電網に接続されている。

近年、アメリカの平野部には風力発電の設備が次々と建設され、カンザス州とオクラホマ州はテキサス州よりも風力発電に依存している。ここ数年、アメリカで最も急成長している職種のひとつが「風力タービン技術者」である。また、このブームは風力発電に限った話ではない。特に太陽の降り注ぐ南西部では、太陽光発電所やバッテリーシステムに投資が集まっている。ソーラーパネル設置業者の数は、今や風力タービン技術者の数を上回っている。

電気系統に柔軟性があり、電機の売買が比較的容易なこともテキサスの風力への投資を支援している。テキサス州には独自の電気系統があり、州の電力会社であるアーコットが管理している。2000年代には、州西部の政治家たちのロビー活動により、新しい電気系統を建設するための基金が設立され、風力発電業者が遠隔地であっても風の強い地域から電気系統へ電力を供給できるようになった。

また、一定の金額を支払えば、風力発電装置の設置を許可してもらえるという地方ならでは状況もある。人口密度の高い地域とは異なりテキサスのような地域では、土地使用に対するロイヤルティは、土地所有者や地方自治体にの反対を抑えるのに十分である。

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