先週の仮想通貨市場振り返り 大幅下落も今後は反発期待か

先週から暗号通貨市場は、弱含みの展開が続いている。相場に最も大きな影響を与えたのは、5日に発表された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨。

先週の仮想通貨市場振り返り 大幅下落も今後は反発期待か
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先週から暗号通貨市場は、弱含みの展開が続いている。

相場に最も大きな影響を与えたのは、5日に発表された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨。早ければ2022年3月にも利上げの方針が示されたことで、早い時期にバランスシート縮小に前向きなことが明らかになり、株式市場が下落した。

ビットコイン価格もこれにつられる形でシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でロングポジションが精算されたことで下落し、サポートラインとされていた45000ドルを割り込み、7日には昨年9月以来となる42000ドルを下回った。精算とはトレーダーの証拠金の一部、もしくは全額が失われたことで取引所がポジションを強制的に決済することだ。

2021年11月に史上最高値を記録した69000ドルから約35%も下落している。この下落幅は昨年7月以降で最大であることからも現在の市場がいかに冷え込んでいるかがわかるだろう。

暗号通貨の投資家センチメントを示す「恐怖&強欲指数」も投資家心理の冷え込みを示す「極端な恐怖」を推移している。8日には過去最低水準の「10/100」を記録した。ここまで冷え込むのは5月に当時の史上最高値を記録して、価格が天井を示してから反落して以来、半年ぶりだ。

ビットコイン価格はこのまま下落を続けるのだろうか。著名アナリストの見解を紹介しよう。

「売り手は飽きている」

ギャラクシーデジタルのマイク・ノボグラッツCEOは日本時間の7日未明、38000〜40000ドルが底値になるとCNBCのインタビューに答えた。同氏は市場は今後数週間は不安定なままであると予想。この理由としては、今回の下落では「出来高が少なく、膨大な数の機関投資家は傍観したまま」であることだ。ある程度価格が落ちたら、一気に機関投資家が買いに走ることを想定している。

さらに、著名トレーダーのByzantine Generalは、「弱気派は疲弊している」として、今後を考慮した場合に、現状の売り一辺倒の状況は続かないと主張した。実際に取引板では売り(bid)が厚くなっており、今後は入札額を高くして市場を動かそうとする動きが予想されるためだという。この意見については27万のフォロワーをもつ暗号通貨アナリストのRekt Capitalも7日、「人々は売りに飽きて買い手となる」と、近く反発することを指摘している。

「売りが飽きている」という兆候は12月末時点で、実際にデータに表れている。暗号通貨分析を手掛けるCryptoQuant社によると、2日ごろから大口投資家である「クジラ」の売り圧力が30日平均で減少しており、さらに暗号通貨取引所内でのステーブルコインの需要が高まっているという。ステーブルコインの取引所流入数は一般的に投資家が暗号通貨を買い戻すために用いられることが多く、買い需要の高まりを示すためだ。

前述した恐怖&強欲指数も市場の冷え込みを示す一方で、トレーダーの逆張り指標ともなる。

反発はいつごろになるかに注目が集まるが、時期は不透明だ。

今週は米国で複数のインフレ指標が発表されるため、発表後に相場の動きが予想されている。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

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今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

By エコノミスト(英国)