ピーター・ティール、極右活動に本腰か
Peter Thiel. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

ピーター・ティール、極右活動に本腰か

【ブルームバーグ】共和党トランプ派の支援者として知られるベンチャー投資家ピーター・ティールはフェイスブックの取締役を辞め、マーク・ザッカーバーグを敵対者リストに加えた政治家候補を支援している。

吉田拓史

【ブルームバーグ】フェイスブックがワシントンの政治家や規制当局の監視下に置かれるようになっても、物議を醸した億万長者ピーター・ティールは長年にわたって同社の取締役の座を守り、それによってシリコンバレーで最も重要なパワーブローカーの1人としての地位を維持してきた。メタは政治的な問題に悩まされることはなくなったが、ティールはかねてから希望していた、極右政治に全面的に取り組むことができるようになる。

ペイパルとパランティアの共同設立者であるティールは、初めての外部投資家であり、最高経営責任者マーク・ザッカーバーグの指導者でもあったフェイスブックに対して、長い間曖昧な態度をとってきた。ティールは、2012年にフェイスブックが上場した直後に保有株の多くを売却し、ザッカーバーグとドナルド・トランプ大統領(当時)との間を取り持つなど、私的にはソーシャルネットワークに批判的な立場をとってきた。ティールは2016年の共和党全国大会で演説し、大統領移行チームのメンバーを務めている。

しかし、ティールとザッカーバーグの関係は、特に昨年から冷え込んでいる。ティールは、ザッカーバーグを敵対者リストに加えた政治家候補の著名な支援者となっており、公民権活動家や民主党の政治家、プライベート・エクイティの経営者などと並んで、「アメリカをダメにしている元凶」としてザッカーバーグを標的にしている。

例えば、ティールは、ティールのベンチャーキャピタル企業で働いていたことがあり、現在はオハイオ州の上院議員に立候補しているJ・D・ヴァンスを支援する政治活動委員会の最大の寄付者だ。昨年の夏、この政治活動委員会はテレビ広告を放映したが、その中でヴァンスは、ザッカーバーグの画像がスクリーンに映し出される中、「支配者層、エリート、彼らは実際にはアメリカ国民のことを気にかけていない」と批判していた。連邦選挙管理委員会の資料によると、ティールは昨年3月、ヴァンスの政治行動委員会(PAC)に1,000万ドルを寄付している。ティールに続いて、保守派のメガドナーであるロバート・マーサーとレベッカ・マーサーが、それぞれ10万ドルと5万ドルを寄付しており、同PACの第2位と第3位の寄付者となっている。

ヴァンスへの1,000万ドルの寄付は、ティールの単独の政治献金としては最大のものだったが、彼はトランプや前大統領の周辺に生まれたポピュリスト・ナショナリスト運動に賛同する候補者のためには、さらに多くの資金を投じる意向を示している。ヴァンスに寄付した1ヵ月後、ティールは2度目の1,000万ドルの小切手を、アリゾナ州の上院議員候補である共和党のブレイク・マスターズを支援する新しいPACに送った。

マスターズは、バンスと同様に、テクノロジー産業とフェイスブックを重要な敵とみなしている。マスターズは、フェイスブックが「バイデンのために選挙をやった」と根拠もなく主張し、2020年の選挙が「盗まれた」という、トランプとその仲間が広めた誤った主張とフェイスブックを結びつけようとしている。マスターズのPAC「Saving Arizona」はこれらのメッセージを増幅させ、マスターズの競争相手の一人である現州司法長官のマーク・ブルノビッチを、バイデンの選挙勝利を証明したと攻撃する広告を放映した。

ブルームバーグは、ティールに近い人物の話として、気が散るようなことを避けるために役員を辞めたと報じた。ティールは、マスターズやヴァンス、その他同様の考えを持つ候補者の支援に注力する予定だ。この動きは、ティールが政治的関与を強めていることに起因している。ティールは、PACへの寄付に加えて、ここ数カ月、マスターズとバンスのために資金集めのイベントを開催してきた。12月下旬、マスターズは99個のノンファンジブル・トークン(NFT)を鋳造することを発表した。このトークンは、個人の寄付上限額である5,800ドルで販売され、「『Zero to One』の歴史の一部」(Zero to Oneはティールの著書)や「私とピーターのパーティへの独占参加」などの特典が付いていた。このプロモーションは完売し、マスターズの選挙活動に約57万5,000ドルの利益をもたらした。

ティールは、2021年1月6日の反乱に失敗した後、トランプの弾劾に投票した一握りの共和党員の一人であるワイオミング州選出のリズ・チェイニー議員の後任として出馬しているハリエット・ヘージマンの選挙活動も支援している。Politicoのアレックス・アイゼンシュタットによると、ティールは9月にHagemanに5,800ドルを寄付し、先月にはヘージマンの資金調達会を主催し、その中でチェイニーを「反逆者」とした。アイゼンシュタットによると、ティールは「左翼を打ち負かすには、共和党から始める必要がある。そこにはいくつかの問題があり、まずそこをきれいにしなければならない」と述べた。

ザッカーバーグは、1月6日を全く異なる言葉で表現している。昨年の議会証言では、国会議事堂への攻撃を「言語道断」「我々の歴史における不名誉な瞬間」とし、トランプ前大統領を非難した。これに対し、ティールに近い人物によると、彼が優先するのは、11月の選挙に向けてトランプのアジェンダを進めることだという。

By Max Chafkin
Peter Thiel Is Finally Free to Go All-In on Far-Right Politics
© 2022 Bloomberg L.P.