メタのメタバースでの210億ドル損失は称賛されるべき:内部留保中毒の日本企業の模範
Metaのメタバース事業の累計損失が210億ドルに達したことは歓迎すべきことだ。超高利潤型の大手テック企業が、多くの日本企業のように内部留保を積み上げるだけの存在になったら、資本主義は崩壊してしまう。
Metaのメタバース事業の累計損失が210億ドルに達したことは歓迎すべきことだ。超高利潤型の大手テック企業が、多くの日本企業のように内部留保を積み上げるだけの存在になったら、資本主義は崩壊してしまう。
Meta Platformsは先週、自社スタジオOuro Interactiveが開発したHorizon Worldsプラットフォーム向けの新作ゲーム「Super Rumble」を発表した。優れたグラフィックと複雑なプレイ体験を持つこのゲームは、同プラットフォームにとって重要な進歩であると見られている。同社は、高品質のゲームをサポートし、開発者がサードパーティのツールを使って作成したアセットをインポートできるように、VRプラットフォームの基盤技術を再構築してもいる。
米国時間の31日には、Metaは研究開発中のVRヘッドセットのプロトタイプを発表した。プロトタイプには、人の眼球レベルの解像度のほか、に可変焦点機能を搭載した「ButterScotch Varifocal」と、高解像度で低遅延・歪みの少ないパススルーを実現する「Flamera」が含まれている。
周囲が損失をあげつらう中、Metaの投資は継続し、イノベーションは続いている。
仮想現実(VR)と拡張現実(AR)技術を開発するのReality Labs部門の損失総額は、2022年初めからの1年半で約213億ドルに上る。昨年、VRヘッドセットの販売で21億ドルの収益を上げたものの、合計137億ドルの損失を出した。今年に入ってもこの損失幅は抑制されておらず、第2四半期でも37億ドルの損失を計上し、この傾向はAR / VRの製品開発とエコシステムの拡張投資の継続により続くと予想されている。
それでも、先週発表された第2四半期決算は好ましいものだった。Metaは前年同期比11%の増収を報告し、2021年末以来初の2桁成長を達成した。同社は第3四半期の売上高を320億ドルから345億ドルと予想しており、これは少なくとも前年同期比15%の伸びを示した。
Metaの株価は、広告市場の回復に対する投資家の楽観的な見方と、同社が大量解雇を実施した後の収益性の改善により、今年に入ってから159%急騰している。それどころか、四半期の純利益は、前年同期の66億9,000万ドルから77億9,000万ドルに増加した。
MetaはデータセンターとAIへの投資により、2024年には費用が増加すると予想している。資本的支出は昨年、2017年の4.5倍以上となる314億ドルを記録した。今年も同水準となると考えられ、その多くがAIに注ぎ込まれると想定される。
レイオフによって組織構成も変化しているようだ。同社は、約2万1,000人の人員削減を終え、人材をより高コストの技術的役割にシフトするため、人件費に多くの支出を予定しているという。マーク・ザッカーバーグはイーロン・マスクの「効率化」を模倣し、もともと高利益率な既存ビジネスの合理化を行い、得られた余剰の資源を成長分野に大きく投資しているようだ。
Metaにはメタバースに200億ドル、そしてAIにも同等の規模の投資を行うのを支えられる、強固なコアビジネスが存在する。新規領域への支出の規模を2倍にしても、この会社は耐えられるだろう。
ザッカーバーグの大盤振る舞いは歓迎しないといけない。Metaのような毎年数兆円の現金を生み出すスーパースター企業が、あたかも典型的な日本企業のようにお金を貯めることだけに集中するようになったら、多量の資本が死蔵する。このような振る舞いは資本主義に致命傷を与えかねない。
Metaは先端分野に投資し、その分野の最高の人材に高い報酬を支払っている。これは将来に種を巻いていることを意味する。このような人材が技術とともに流動的に業界を動くことでイノベーションが促進されてきた歴史がシリコンバレーにはある。新たな楽園を求めて突き進むアニマルスピリッツは、資本主義を動かすためにどうしても必要なのだ。