22世紀は中印が覇権を争う

中印が22世紀初頭に世界経済シェアの大部分を占めると予測した研究が話題を呼んでいる。ただし、想定された生産性を印中が達成できない場合、彼らがアフリカに追いつかれる未来も研究者たちは予測している。

22世紀は中印が覇権を争う
2014年9月18日木曜日、インドのニューデリーにあるハイデラバードハウスで、両国間の一連の協定に署名する会議に出席するインドのナレンドラ・モディ首相(右)と中国の習近平国家主席(左)。Photographer Graham Crouch/Bloomberg. 

中印が22世紀初頭に世界経済シェアの大部分を占めると予測した研究が話題を呼んでいる。ただし、想定された生産性を印中が達成できない場合、彼らがアフリカに追いつかれる未来も研究者たちは予測している。


全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパー「The Future of Global Economic Power」では、今後数十年の間に中国とインドが世界の主要経済国になり、米国と西ヨーロッパは存在感を失うと予測している。この分析は、生産性の伸びと人口動態に依存しており、米国の移民政策、中国の自由市場からの脱却、その他の要因が、世界経済における各国の将来の影響力に影響を与えることを意味している。

この研究によると、世界のGDP(国内総生産)に占める米国の割合は2017年の16%から2100年には12%に減少し、中国の割合は16%から27%に上昇するという。同研究では、世界のGDPに占めるインドのシェアは2017年の7%から2100年には16%に上昇し、西ヨーロッパ(英国を含む)のシェアは2017年の17%から2100年には12%に低下すると予測している。調査によると、インドと中国を合わせたGDPは、2017年の23%から2100年には43%に上昇するという。

この結果は、生産性キャッチアップ(productivity catch-up)に「非常に敏感」であるとSeth G. Benzellら7人の著者は書いている。彼らは、経済学者のUlrich K. Müller、James H. Stock、Mark W.atsonによる2019年のNBER研究を引用した。同研究は、中国、インド、ロシア、東欧、旧ソ連の労働生産性キャッチアップが大幅に低下すると予測しているが、Benzellらは必ずしも同意していないようだ。

Benzellらは、生産性成長率が2017年以前の20年間と同じと仮定した場合(つまり「最近の成長率」と同じ仮定した場合)のシナリオも検討している。「インドは世界の超大国となり、世界経済に占める割合は2100年に6.8%から33.8%に上昇」と説明する。中国の世界GDPに占める割合は15.7%から22%に上昇することになる。それでも、このシナリオでは、インドの人口は中国より50%多くなるが、労働生産性は同じであるため、インドの経済規模は中国より50%大きくなる。

このシナリオでは、世界経済に占める米国のシェアは、今世紀末にはわずか10%にまで落ち込む。英国を含む西欧については、最近の生産性キャッチアップが継続すると仮定された世界では、2100年のシェアはわずか6.4%になる。つまり、西欧は世界最大の経済圏から最小の経済圏へと変貌するというのだ。

もう1つのシナリオは、悲観的な見方を採用している。生産性が過去30年間のパスを下回り、世界のGDPに占める中国の割合が著しく低下するものである。中国とインドの生産性の伸びは劇的に低下し、サハラ以南のアフリカの生産性は急上昇し、中国とインドの2100年のシェアはわずか16%、アフリカは17%という驚異的な水準になる。

中国が伸び悩む可能性

Benzellらの研究は、中国の経済成長が悪い経済政策によって低下することはないだろうと仮定している。しかし、すでにそうなっている可能性がある。習近平政権下の中国は、より成功した民間企業よりも効率の悪い国営企業を支援し、長年にわたり一人っ子政策を維持してきた影響が、中国の人口動態に現れているとエコノミスト誌は指摘している。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、「中国の潜在的な成長力に問題があることを示すいくつかの兆候がある」と報じている。「IMF(国際通貨基金)の分析によると、習近平政権下の過去10年の大半で、生産性の伸びは平均でわずか0.6%だった。それまでの5年間の平均3.5%から急降下した」

中国に関するリサーチを提供するRhodium GroupのLogan Wrightは、「より長い目で見れば、中国の成長見通しは、人口動態、生産性の低下、そしてより重大なのは過去10年間の構造改革の失敗によって制約される」と書いている。「現在の中国の潜在成長率は5%よりも3%に近いと思われ、中国は現在その潜在成長率を大きく下回っている」

「BRICs」の名付け親で知られるゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント元会長、ジム・オニールもまた、中国が別のシナリオを歩み始めた可能性について警鐘を鳴らしている。「習近平氏が近年大きな経済的打撃を与えてきた政策を改めようとする気配が全くなかった」ことを彼は重く見ている。

参考文献

  1. Seth G. Benzell, Laurence J. Kotlikoff, Maria Kazakova, Guillermo LaGarda, Kristina Nesterova, Victor Yifan Ye, Andrey Zubarev. The Future of Global Economic Power. October, 2022. NBER, WORKING PAPER 30556.

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