「世界の工場」の座を狙うインド
インドは電子機器の生産拠点になる野心を滾らせている。国内市場ですら中国製のエレクトロニクスによって占拠されており、中国やベトナムが成功した道筋をなぞることで、電子機器輸出国に転じる目論見だ。
インドは電子機器の生産拠点になる野心を滾らせている。国内市場は中国製のエレクトロニクスに占拠されているが、中国やベトナムが成功した道筋をなぞることで、電子機器輸出国に転じる目論見だ。
ラジーブ・チャンドラセカール電子・情報技術相は27日、インドにおけるエレクトロニクス製造の機会は膨大であり、政府は全産業的なビジョンを持って体系的に政策のギャップに対処している、と述べた。
「エレクトロニクス分野では、携帯電話からスタートし、大きな成功を収めています。そして、リチウムやPCBの原料など、戦略物資のエコシステムを構築するつもりです。これらの分野は、コモディティ輸出業者になるばかりで、長い間放置されてきた分野です。私たちは原材料の輸出に重点を置き、その原材料の価値を創造することに重点を置いていなかったのです」
また、アーンドラ・プラデーシュ州チットゥール県ティルパティにインド初のリチウムイオン電池工場が設立されたことに触れ、「今日、若者がデジタルインディアのビジョンを牽引している」と述べた。
インド電子情報技術省は8月下旬、2026年までに電子機器生産量を約400%、輸出量を750%増加させるための方法を探る報告書を発表した。2026年までの電子機器輸出の目標は1200億ドルである。現在、インドは760億ドル相当の電子製品を製造していますが、そのうち輸出に回されるのはわずか160億ドルに過ぎない。この報告書は、インド携帯電話・電子機器協会(ICEA)と共同で作成されたものだ。
報告書は、先行例である中国とベトナムに注目し、これらの国がそれぞれ9,000億ドルと1,000億ドルに輸出を増やすことにどのように成功したかを調査している。2010年には、インドとベトナムはともに同程度の金額の電子製品を輸出しています。しかし、その後の10年間でベトナムの輸出額は急増し、インドの9倍になったとICEAは記述している。
現状、インドのエレクトロニクス部門は、世界的な競争だけでなく、国内での生き残りにも苦戦している。報告書によると、過去20年間、国の生産に占める電子機器製造業の割合は停滞している。付加価値の国内比率も、中国の38%に対し、インドは18%と低く、これは国内で生み出された付加価値の割合を示している。
グローバリゼーションとローカライゼーションの両方の大きな目標を同時に達成しようとしても、国内の補助的サプライヤーによる競争力のあるエコシステムがなければ、成功する可能性は低い。したがって、報告書では、インドは、中国やベトナムも追求している「まずグローバリゼーション、次にローカライズ」という方針を採用すべきと提案している。
かつて中国が行ったエレクトロニクスの生産拠点の誘致を、いまインドがなぞっている。しかし、そのやり方はもっと露骨だ。ナレンドラ・モディ政権はすべての半導体製造工場の設立費用の半分を負担すると、9月中旬に声明で発表した。以前、ニューデリーは、製造するチップの種類に応じて、プロジェクト費用の30%から50%の範囲で財政支援を行うと発表していたが、今回の発表で一律50%になる。
また、政権はディスプレイ製造工場を設立する企業に対するプロジェクト費用の50%について、1,200億ルピー(約2,130億円)という上限を撤廃した。
最近では、iPhoneのインド国内での組立が開始されている。この組立工場に携わった台湾の鴻海精密工業と、地場金属企業Vedanta Ltd.の合弁会社は、モディの地元であるグジャラート州に工場を設立すると、Vedantaは今月初めに発表した。