売上急減のXにとどめ ガザ情勢の偽情報蔓延
X(旧Twitter)でガザ情勢をめぐる偽情報が拡散し、EUが調査を行っている。大手広告主は離れたままだ。瀕死のSNSに最期の時が迫っているか。
X(旧Twitter)でガザ情勢をめぐる偽情報が拡散し、EUが調査を行っている。大手広告主は離れたままだ。瀕死のSNSに最期の時が迫っているか。
CNNが参照した分析会社NewsGuardによる最近の報告で、Xの認証済みアカウントのいくつかが、イスラエルとハマスの戦争に関する誤情報を広めていることが明らかになった。これらのアカウントは、Xの認証ポリシーが変更され、月額8ドルを支払って「認証済み」を獲得したユーザーの投稿が促進されるようになったことを悪用しているという。
NewsGuardは、紛争の最初の週に投稿された250件の投稿のうち、186件がプレミアムXアカウントによるものであることを発見した。これらの投稿は1週間で130万以上の反応を獲得し、世界中で1億回以上閲覧された。
Xの青いチェックマークは、かつてはアカウントの正当性を示していた。しかし、イーロン・マスクがCEOに就任してから方針が変更され、月額8ドルのXプレミアムに加入すれば、誰でも取得できるようになった。この変更により、有料ユーザーからの投稿が優先されるようになった。
トロント大学のシチズン・ラボの上級研究員であるジョン・スコット=レイルトンは、 米国営ラジオNPRに対して「プラットフォームが変更されたことで、デタラメが報われ、奨励され、インセンティブが与えられ、増幅されている」と述べた。
「現在、Xは絶対的な誤報と偽情報の危機であり、その環境は、何が起こったのかについて共通の理解を得たり、かなり明確な災害のように見えるものについて説明責任を果たそうとしたりする上で、他にはないほど役に立たない」
「Xは誤情報と偽情報の巣窟になった」と、元Twitterグローバルニュース責任者で現アスペン研究所のビビアン・シラーは、CNBCに対して語った。
EUが偽情報の調査開始
欧州連合(EU)は10月中旬、イスラエルとハマスの戦争に関する偽情報や違法コンテンツを流布したとして、Xの調査を開始した。EUが7月に可決し、今年8月に発効したデジタルサービス法(DSA)は、プラットフォーム企業に対し、違法コンテンツ、偽情報などの社会的リスク拡散に取り組む義務を定めている。XはEU圏内の1億100万人以上のヨーロッパ人に利用されている。
EUを納得させる回答が得られない場合、Xの1日あたりの世界売上高の5%を上限とする罰則が課される可能性がある。イーロン・マスクは、欧州委員会のティエリー・ブルトン委員の「偽情報はXで最も活発に拡散されている」という懸念に対して、EUから撤退すると言ったと報じられたが、後に否定した。
深刻な広告主離れ
最近、大手広告主はXから広告を引き上げたままとする調査結果が出た。米メディアInsiderによると、マーケティングコンサルタント会社Ebiquityは、マスクの買収後、ほとんどの大口広告主がXへの広告掲載を中止したことを明らかにした。Ebiquityのクライアントのうち、先月Xに広告を出したのはわずか2社で、2022年9月の31社から減少した。Ebiquityは、グーグル、ウォルマート、ゼネラル・モーターズ(GM)など、トップクラスの広告主100社のうち70社と取引している。
Xの広告収入は大幅に減少し、財政難を引き起こしている。リンダ・ヤッカリーノCEOは最近、トップ広告主の90%が戻ってきたと主張していたが、Ebiquityの調査は、その正当性に疑問を投げかけている。
ニューヨーク・タイムズが入手した社内プレゼンによると、4月1日から5月第1週までの5週間のXの米国での広告売上は、前年同期比59%減の8,800万ドルだった。同社は米国での週間売上予測を定期的に下回っており、時には30%も下回っているという。