株主/ユーザーへの手紙

弊社は最悪のケースでは4月に休眠します。資金調達環境がこの十数年で最も悪いためです。事業・製品は十分なシグナルを発しています。外的環境が変化すれば、この手紙の宣言は撤回される可能性があります。

株主/ユーザーへの手紙
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要約:弊社は最悪のケースでは4月に休眠します。資金調達環境がこの十数年で最も悪いためです。事業・製品は十分なシグナルを発しています。外的環境が変化すれば、この手紙の宣言は撤回される可能性があります。


弊社は当面の計画として、4月に200万円弱程度のキャッシュを残存させて、会社を休眠する可能性があることをお伝えいたします。それまでは①外部投資の獲得、②黒字化、のいずれか、あるいは双方を満たすよう死力を尽くす考えです。

弊社の事業状況は、アーリーステージ(初期段階)のスタートアップとしては非常に好ましいものです。14万の月間ユーザーがあり、調査の結果ユーザーは富裕・高専門性、高職位のいずれかの特性を満たしていることがわかっています(詳しくは以下の報告書)。

22年上半期の事業報告 - (株)アクシオン
ニュースアプリケーションのアクシオンは2022年上半期、非常に好ましい結果を残し、エンジェル投資家から集めた2,200万円で、通常なし得ない将来性を証明した。この会社は、さらに資金を調達すれば、急激な成長が約束されているだろう。あるいは、自己資金での運営に目処をつければ、あとは自らの力だけで成長していくはずだ。

また、事業のビジネス実現性もすでに実証済みで、60の有料購読者を持ち、年間100万円弱のサブスク収入基盤をもっています。これは最初期のスタートアップには珍しい収益化の成功です。弊社は国際的なメディアの翻訳と高質のオリジナルコンテンツを月に最大200本提供し、もし投下資本が増えれば、著しい成長が確約されているでしょう。これ以外にも様々なメトリクスや定性的な要因が弊社の成功を証明し、今後の成功を示唆しています。

弊社の価格は、国際的な水準からいささか低い日本の基準に照らしわせても数十億円のバリュエーションに相当する「シリーズB」のレンジに当たると考えられます。通常数人から十数人の従業員で実現するこの段階に対して、弊社はたった一人であり、類まれな効率の高さを示しています。この点がプレミアムとして勘案されるべきというのが弊社の主張の重要なポイントの一つです。

また、スタートアップという枠を外し、未上場企業のM&Aという観点で値付けしても、やはり同等の価格レンジに相当するでしょう。多くの企業が弊サービスのようなものを作ろうとして失敗を続けてきました。弊社は非常に稀有な存在なのです。

しかし、現状の市況下では、資金調達が成功しない可能性があります。その場合、最初に述べたとおり、会社を休眠させる可能性があります。このシナリオでは、会社を休眠させた上で、私がサラリーマンとなって働き、数年後の再始動に向けてキャリアを築きます。スタートアップの創業者として世界的に分かりやすいキャリアを作ることで、国際的な資金調達のパイプラインを担保し、ロバストな会社運営を目指す狙いがあります。

会社が倒産するか否かのラインまで粘るよりはこちらの選択肢のほうが間違いなく勝率は高いでしょう。死線をさまよう状況下では、会社の状況が良くとも、買い叩かれてしまう公算が高いためです。ビジネス自体はすでに与えられた条件の中で十分に勝っているのですから、生き残っていれば、長期的にはより豊かな勝ちを享受できるはずです。

休眠時には200万円弱のキャッシュを会社に残すのは、休眠の最中も一定の維持費が生じるためで、また再起時のコストも勘案してのものです。

これまでの話は最悪シナリオについてのものです。外的環境が変化すれば、この手紙の宣言は撤回される可能性があります。

私ができることは、この会社を成功させるため、これまで同様死力を尽くすことだけです。外的要因は私にはコントロールができません。この会社・製品ではすでに多くのことに成功してきましたが、今後はもっと多くのことを成功すればいいのです。

今後も弊社/弊サービスをご愛願頂けますよう宜しくお願いいたします。

2022年12月2日

株式会社アクシオンテクノロジーズ 代表取締役社長 吉田拓史

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