百度がロボタクシー競争のトップにいる?

米中の自律走行車(AV)企業によるロボタクシーの競争が激化する中、中国のテクノロジー大手百度は、ロボタクシーの実運用を着実に伸ばしている。「実践の中国」を代表する百度が「理論の米国」を凌駕する結果となるか。

百度がロボタクシー競争のトップにいる?
百度の完全無人ロボタクシーが公道でサービスを提供。出典:百度

米中の自律走行車(AV)企業によるロボタクシーの競争が激化する中、中国のテクノロジー大手百度は、ロボタクシーの実運用を着実に伸ばしている。「実践の中国」を代表する百度が「理論の米国」を凌駕する結果となるか。


百度のロボタクシー事業であるApollo Goは、30日の決算説明会で、同サービスの乗車回数が100万回を突破したと明らかにした。Apollo Goは現在、中国の主要都市(北京、上海、広州、深セン)を含む10以上の都市で利用可能だ。

特に操業開始から2年未満で、北京市郊外の配車市場の約10%をつかんだ。これは通常のタクシーアプリ企業と競合して、ロボタクシーが市場の1割を獲得していることを意味する。

「8月8日、Apollo Goは完全無人運転を開始し、中国初の無人運転サービスを実現。また、自動運転サービスは、7月20日に許可を得てから料金徴収を開始した」と決算発表会で同社は説明している(完全無人運転を「中国初」で実現したAV企業については諸説ある)。米国では、Cruiseが最近サンフランシスコでドライバーレス商用サービスの提供を開始し、Waymoは2020年からアリゾナ州で提供している。

百度はApollo Goを2025年までに65都市、2030年までに100都市に拡大する計画であると述べている。今年末までに、百度はさらに300台のApollo第五世代ロボタクシーを既存の車両群に追加する見込みだという。

百度が活動する区域は人口が密集しておらず、自律走行システムの運用を容易にする新しく広い道路が多いのが特徴だとTechCrunchのRebecca Bellanは報じている。北京と重慶では、百度が初の商用ドライバーレスサービスを開始するために、有利な規制と技術環境を提供している。重慶では、永川区が自律運転のパイロットゾーンとなっており、30台のロボットタクシーが100万キロのテスト走行を積み重ねている。

TechCrunchによると、Apollo Goが営業する武漢のゾーンでは、2021年から321キロメートルの道路をAVのテスト用に改修し、そのうちの106キロメートル分は5Gを利用したV2X(Vehicle to Everything)インフラでカバーされているという。AVは、V2X技術を利用して周辺環境に関する情報をリアルタイムで収集し、その情報を他の車両やインフラと共有することができる。これは基本的に、車載LiDAR、レーダー、カメラとは別に、ロボット軸が頼るべきもう一つのセンサーを提供することになる。V2Xインフラは、百度が車両をリモートで監視し、必要に応じて車両を操縦するのにも役立つ。

百度はAVの車両コストに破壊的な変化を及ぼす可能性がある。Apollo Goは7月末、第6世代ロボットタクシー「RT6」を発表したが、RT6の製造コストは同等の自律走行車の製造コストの4分の1にあたる25万元(約500万円)だとしている。もちろん、中国企業は強い発表をする傾向があるため、最終的に市場投入されるまで注視する必要があるだろう。

百度の開発者会議では、RT6は、2023年に中国の道路を走行する予定で、自律走行車として一から設計された。センサーはボルトで固定されるのではなく、シャーシの周りに埋め込まれていることが明らかにされている。

百度はAVの主要部品を安く調達できている可能性がある。LiDARはAVのコストセンターの一つだが、中国には米国よりも安価なLiDARを提供するサプライヤーがいる。その他のセンサーも同様だ。また、百度はRT6に積まれるシステム・オン・チップ(SoC)については明らかにしていないが、独自のソフトウェア・スタックがあるため、すべてをNVIDIAに依存しないで済む点も、一定の価格交渉力を百度に与えているだろう。

百度は来年までにRT6の小規模なテストと展開を行い、2024年には大規模展開を目論んでいる。後発から始めて物事がレールに載った後は物量戦で相手を圧倒するという中国が得意とする勝ちパターンに入っているかもしれない。

Apolloプロジェクト

百度のAV研究は2013年に始まり、Apolloプロジェクトは2017年初頭に開始された。

Apolloは、2017年に登場した百度のオープンソースの自律走行技術プラットフォームである。自動車業界のパートナーに自律走行機能を提供できるよう、オープンで安全なソリューションを提供することを目的としている。Apolloは、自律運転のための世界で最も活発なオープンプラットフォームの1つで、70万行以上のソースコード、8万人以上の開発者、210社以上の業界パートナーが参加している。7月末日までで、百度は1,000件以上の高度な自律走行特許を保有し、世界第1位となっている。

百度のロボタクシーの社内。同社は運賃徴収を開始。 人間が運転する車両は完全に排除。出典:百度

Apolloは複数のAVユースケースに積極的に取り組んでおり、中でもロボットタクシーが最も重要なセグメントとなっている。また、ロボバスと呼ばれる大量輸送システム用のAVの開発・試験にも積極的に取り組んでいる。これには、北京、広州、雄安、重慶、佛山など複数の都市の22の都市公園で2018年からテストされている「Apolong」などのミニバスも含まれる。

自律走行EVも並行投資

百度は2021年に中国の自動車メーカー・吉利と提携し、インテリジェントEV企業で協業することになった。吉利の自動車に関する専門知識と百度の先進的なソフトウェアにより、2021年3月に自動運転EVのスタートアップであるJIDUが誕生した。

ROBO-01。出典:

JIDUは設立以来、「ROBO-01」を皮切りに、いくつかのEVコンセプトを発表してきた。最先端のNVIDIA Drive OrinコンピュータチップがJIDUのROBO-01を動かしている(NioやLi Autoといった自動車メーカーのEVスマートカーも動かしている)。

JIDUは、2028年までに毎年80万台の自動運転EVを提供するという野心的な計画を持っている。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)