中国企業の米上場、復調の息吹
2021年以降、停滞していた中国企業による米証券取引所への上場が、再び勢いづく兆しを見せている。会計監査が厳しくなったとしても、中国企業には米国の金融市場が魅力的に映るようだ。
2021年以降、停滞していた中国企業による米証券取引所への上場が、再び勢いづく兆しを見せている。会計監査が厳しくなったとしても、中国企業には米国の金融市場が魅力的に映るようだ。
上海に拠点を置く自動車用センサーメーカーであるヘサイ(Hesai)が、水曜日にナスダック証券取引所での新規株式公開(IPO)を遂げた。
米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、ヘサイの売上高は過去3年間で着実に増加し、1億1,200万ドル近くに達し、9月30日までの9カ月間の純損失は2,300万ドルに縮小している。国内大手ハイテク企業の百度、シャオミ(小米)、美団のほか、ドイツのエンジニアリングコングロマリットRobert Bosch GmbHも戦略的投資家に名を連ねている。
ヘサイは2021年以降に米国で上場した最大の中国企業グループとなった。この取引により、上場が停止していた約2年間の緊張が緩和されることを取引所幹部は期待している、とフィナンシャル・タイムズ(FT)は報じた。
ヘサイの上場は、米国での資金調達を目指す中国企業の復帰の可能性を示すもので、今年すでにIPOを開始した他の2社に続くものだ。中国企業の上場廃止リスクは、ワシントンと北京が監査問題の解決に進展したことで大幅に緩和され、中国の再開を相まって、市場心理はより強気に転じている。
2021年にディディ・グローバルが44億ドルでニューヨーク上場した直後に北京が上場廃止に追い込んで以来、米国のIPO市場は中国企業にとってほぼ閉ざされた状態だった。ブルームバーグがまとめたデータによると、昨年ニューヨークで上場した中国の発行体はわずか10社で、調達額は計3億7,600万ドルと過去10年で最も少なかった。
これに対して今年は、量子之歌(クアンタシング・グループ)など2社が新規上場を決め、iQiyiやBilibiliなどが主導して14億ドル相当の公募が行われ、好調なスタートを切った。
2022年12月15日、公開会社会計監督委員会(PCAOB)は、中国の規制当局から中国と香港の監査人に対する規制調査を行うための無制限のアクセスを「史上初めて」許可されたと発表し、これらの会計事務所が監査する米国上場中国企業の米国市場での取引が禁止されるまでの時限措置に歯止めをかける決定を下した。1月9日現在、これらの取引所に上場している中国企業の時価総額の99%に相当する137社が、これらのPCAOBがアクセス可能な会計事務所を利用していたという。
米中経済安全保障検討委員会(USCC)の統計によると、 2023年1月9日現在、これらの米国取引所に上場している中国企業は252社で、時価総額は1兆300億ドル。時価総額は、2022年第3四半期末はそれぞれ262社、7756億ドルだった。この増加の多くは、米国の規制当局が外国企業説明責任法(Holding Foreign Companies Accountable Act)に基づく取引禁止の脅威を停止した後、中国株が最近上昇したことに起因している。
ヘサイの目論見書では、米監査当局による上場廃止の脅威はひとまず解除されたものの、今後は毎年同じ判断を下す必要があるとも警告している。さらに同社は、上場の準備期間中に、米国の会計基準に関する知識を持つ「十分なスキルを持ったスタッフの不足」に悩まされたことも指摘している。
長期に渡った冬の間には、中国企業の小型IPOを通じた株価操作疑惑という問題もあった。データプロバイダーDealogicのデータによると、2022年、米国で行われた中国のIPOは、取引初日に平均426%という驚異的なリターンを記録。昨秋、ナスダックは少なくとも4社の小規模な中国企業のIPO準備を停止し、その一方で、こうした企業の株式公開後の短期間の株価上昇を調査した。中国企業にとって国内や香港よりも米国のほうが上場規則が緩いという側面が影響したのかもしれない。