中国の人口減、歴史的な転換点
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中国の人口減、歴史的な転換点

中国では60年ぶりの人口の減少が確認された。GDP成長も1970年以来の低水準まで落ち込んだ。高度成長を遂げてきた中国経済の歴史的な転換点だろうか。

吉田拓史

中国では60年ぶりの人口の減少が確認された。GDP成長も1970年以来の低水準まで落ち込んだ。高度成長を遂げてきた中国経済の歴史的な転換点だろうか。


17日に中国・国家統計局が発表したところによると、昨年中国で生まれた人は956万人で、亡くなった人は1,041万人であった。死亡数が出生数を上回ったのは、1960年代の毛沢東による経済実験の失敗で飢饉と死者が蔓延した大躍進政策の時期以来のことだった。

同局によると、出生数は2021年の1,060万人から減少した。6年連続で減少している。中国では2035年までに4億人が60歳以上となり、人口の3分の1近くを占めると予想されている。中国の急速な高齢化に伴う労働力不足は、税収を減らし、すでに大きな圧力がかかっている年金制度への拠出も減らすことになる。

中国国家統計の康義局長は「これは主に、人々の出産意欲の低下、結婚や妊娠の遅れ、出産適齢期の女性の減少の結果」と説明している。同局によると、15歳から49歳と定義される出産適齢期の女性も2022年には400万人以上減少したという。

中国の厳格なゼロ・コロナ政策は、健康危機と経済減速の間に夫婦が子供を持つことを遅らせたり、避けたりしたため、中国の出生率の低下を加速させたと広く見られている。

下落の要因の1つは、1980年に北京が実施した一人っ子政策にあるかもしれない。一組の夫婦が産める子どもの数を、国の人口が安定するために必要な平均2.1人以下に制限していた。当局は2016年にこの政策を廃止し、2人っ子制限に変更したが、それ以降も、出生数は毎年減少している。

1960年代、中華人民共和国大飢饉(1959〜1961年)の後、一大ベビーブームが起きた。急激な人口増加を抑えるため、政府は1980年に一人っ子政策を打ち出し、ほとんどの家庭が子供を一人しか持てないように制限した。この政策により、人口増加率は1970年の2.5%から2000年には0.7%に低下した。しかし、この政策は2016年まで終了しなかった。北京大学のJianxin Liは1997年の時点で、人口抑制政策が継続された場合、中国の人口は2024年にピークを迎えると予測していた。

ノースカロライナ大学チャペルヒル校の人口学者であるYong Caiは8月の科学誌Natureのニュース記事の中で「転換期はすぐそこに来ている。今年末に人口減少が報告されても驚かない」と主張していた。中華人民共和国国家衛生健康委員会は8月初旬にオンラインで発表した記事で、中国の人口増加は著しく減速し、2023年から2025年の間に減少に転じると書いたという。

中国人民大学の人口学者Wei Chenは中国の科学論文誌に投稿した論文の中で、2020年に発表された国勢調査のデータに基づき、中国の人口は2021年にすでにピークを迎えた可能性があると結論付けていた。

すでに人口減少は起きていたと主張する人もいる。ウィスコンシン大学マディソン校の人口学者、Yi Fuxianは、中国の人口は2018年に減少し始めたと推定している。Yiは同国は人口統計の数字を常に操作し、公式見解に異議を唱える者を取り締まってきたとし、中国の人口は2014年にすでにインドに抜かれ、2018年には減少に転じたと結論づけている。

6月に上海市警から10億人分の個人情報を入手したと称する匿名のハッカーが公開した、25万人分の戸籍情報を含む約75万件のサンプルデータを利用したYiの分析によると、公式統計上存在する2004年、2011年の出生率のピークは存在せず、中国の実人口は14億1,000万人(公式発表)ではなく、Yiが推定した12億8,000万人よりもさらに少ない可能性がある、という。このような主張が書かれたYiの書籍は中国国内で手に入れることは不可能だ。

カリフォルニア大学アーバイン校の社会学教授で、中国の人口統計を専門とするWang Fengは、「これはまさに歴史的な転換点であり、長期的かつ不可逆的な人口減少の始まりである」とフィナンシャル・タイムズ(FT)に対して述べた。

豊かになると少子化が起きるのは富裕国に広く見られる傾向だ。中国は世界第2位の経済大国になったことで、平均寿命が延び、子どもの学費と住宅のための費用が高くなり、家族計画に影響を及ぼした可能性もあるかもしれない。実際、中国の出生率の低下は、一人っ子政策が終了した後も続いている。

国家統計局のデータによると、中国が16歳から59歳と定義する労働年齢人口は62%で、10年前の約70%から減少しており、人口の高齢化に伴い中国が直面している課題が浮き彫りになっている。