LLMが次世代のコンピュータインターフェイスになる

人々がAIやソフトウェアを使う上で、大規模言語モデル(LLM)が自然言語に対応する窓口になるという、昨年のChatGPTの登場以来現実性を増したアイデアがある。各プレイヤーの競争の焦点の一つだ。

LLMが次世代のコンピュータインターフェイスになる
UnsplashCash Macanayaが撮影した写真

人々がAIやソフトウェアを使う上で、大規模言語モデル(LLM)が自然言語に対応する窓口になるという、昨年のChatGPTの登場以来現実性を増したアイデアがある。各プレイヤーの競争の焦点の一つだ。


Google DeepMindのCEO、デミス・ハサビスは、米メディアThe Vergeのインタビューでこう話している。「チャットボットやその種のシステムの場合、最終的には、日常生活全般にわたって本当に便利で役立つことをするために、1日のうちに何度も使うような、素晴らしいユニバーサル・パーソナル・アシスタントになるでしょう」。

ChatGPT gets the headlines, but scientific research like AlphaFold is also the future of AI, says Google DeepMind CEO Demis Hassabis
The buzz around AI has moved from science research to chatbots, but Google DeepMind’s CEO says it’s all relevant to progress.

ハサビスは、大規模なAIシステムやコンピュータをモジュール化されたシステムとして捉えていると説明した。携帯電話を例に挙げて、スクリーン、チップ、アンテナなど、様々な部品が合わさって一つの機能を成し遂げる様子を示している。同様に、大規模な言語モデル(LLM)はユーザーとのインターフェースとして機能し、その背後で特定の専門タスク(例えば、タンパク質の折り畳み)を行うためには、別の専門的なAIモジュール(例えば、AlphaFold)を呼び出すという概念を説明している。

彼はツールユース(Tooluse)という研究分野に言及した。ツールユース機能の下では、中央システムはユーザーのプロンプトに効果的に応え、その質問や問い合わせを適切なツールにルーティングする。そして、その結果をユーザーに対して理解しやすい形で返する。これら全てのプロセスは、自然言語という最高のインターフェイスを通じて行われる。

「つまり、ユーザーにとっては、多くの能力を持つ1つの大きなAIシステムのように見えるだけで、その裏側では、AIシステムは専門化された小さなAIシステムに分解されている可能性がある」とハサビスは言う。

「そして、おそらくそれが次の時代になると思います…中央システムは、あなたが言語で効果的にプロンプトを出す、ほとんどスイッチステートメントのようなものだと考えることができ、あなたのクエリや質問、あるいはあなたが尋ねていることが何であれ、あなたのためにその質問を解決したり、あなたのために解決策を提供したりする適切なツールにルーティングします。そして、それを非常に理解しやすい方法で送り返す。ここでもまた、自然言語という最高のインターフェイスを使っている」。

ハサビスとともにDeepMindの共同設立者であり、Googleを離れInflection AIを創業したムスタファ・スレイマンも似たような考え方をしている。彼は、米メディアCNBCとのインタビューで、買い物や交渉などあらゆることを代行してくれるパーソナルアシスタントがAIの未来だと語った。彼は、これらのAIシステムは私たちの働き方や生活を劇的に変化させ、最終的には検索エンジンに取って代わるだろうと述べた。生成AIチャットボット「Pi」が、ユーザーの日常的なタスク管理を支援する機能を獲得することが、Inflection AIの目的だという。

OpenAIはChatGPT PluginでTooluseのインターフェイスの地位を狙ったが、サム・アルトマンはユーザーの反応が悪いと考えているようだ。

Tooluseの課題としては、LLMが通常は法外な計算コストと一般にアクセスできないデータセットに依存していることだ。GPUの供給不足もボトルネックになっている。ただ、LLaMAやOPTのようなオープンソースのLLMを使うことで、GoogleやMicrosoft、OpenAIのようなプレイヤーでなくともこのゲームに参入できる余地はある、と上海交通大学准教授のRui Yangはみている。

参考文献

  1. Run Yang et al. GPT4Tools: Teaching Large Language Model to Use Tools via Self-instruction. arXiv:2305.18752 (cs.CV) https://arxiv.org/abs/2305.18752

Read more

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

By エコノミスト(英国)