シェリル・サンドバーグ退任から伺えるメタ社内の変化
メタバースに目的地を変更したメタの社内で、経営トップ層の入れ替えを求める人達がいても不思議ではない。メタは競合企業からメタバース関連の人材を買い漁り、Facebookを扱っていたチームをメタバース部門へと移していると言われる。
シェリル・サンドバーグが最高執行責任者(COO)を退任する。サンドバーグは、ハーバード大学の寮で生まれた無料のソーシャルネットワークであるFacebookを、世界中に約30億人のユーザーを持つ世界で最も支配的なソーシャルメディアプラットフォームに成長させた中心的な人物の一人だ。
彼女は今後、慈善事業と自身の財団に専念する予定だ。この夏には、テレビプロデューサーのトム・バーンタール氏と結婚する予定であることも投稿で述べている。引退のような形だ。
サンドバーグの後任は最高グロース責任者(CGO)のハビエル・オリバンだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がメタの内部資料をもとに行った調査報道では、「Facebookのユーザー基盤の拡大やプラットフォーム上での活動の分析を担当するチームを統括しており、ザッカーバーグに直接報告するすべての経営幹部の中で、彼を支持するスタッフの数がここ数年で圧倒的に増えている」ことが判明していた。当時、セントラル・プロダクト・サービス担当バイスプレジデントの肩書を持っていたオリバンの下にいるスタッフは、5年間で900%以上増加したことがデータで示されている。
その報道の中では、サンドバーグの「シマ」は、近年、フェイスブックのスタッフに占める割合が減少してきたことが指摘されている。彼女のレポートラインにいる契約社員の数は急増していたものの正社員の割合は減っていたという。
退任発表の2ヶ月前、サンドバーグは元交際相手のアクティビジョン・ブリザードの元CEOボビー・コティックに関するスキャンダル報道を葬るためにFacebookの影響力を2度行使したと報じられていた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、報道はコティックが元恋人へのハラスメント疑惑をめぐって裁判所から一時的接近禁止命令を受けたことを示す裁判資料に基づいているものだったが、掲載されることはなかったという。2016年と2019年に、サンドバーグはイギリスのタブロイド紙「デイリー・メール」のオンライン版「メールオンライン」に接触し、同紙が接近禁止命令について報道するのを阻止しようとしたようだ。彼女はFacebookのメディア企業への影響力をメールオンラインに対する圧力の主要な資源として利用したとされていた。
Facebookはサンドバーグの行為が会社の規則に違反していないか検討したが、その結果は公表されていない。メタの広報担当者は、米国公共放送(NPR)に対し、サンドバーグの退社はコティックの件に関する報道とは無関係であると述べた。
このような追及されていなかった問題がほじくり返されて表沙汰になるということは、何らかの政治が背後で働いたのかもしれない。メタバースに目的地を変更したメタの社内で、経営トップ層の入れ替えを求める人がいても不思議ではない。メタは競合企業からメタバース関連の人材を買い漁り、Facebookを扱っていたチームをメタバース部門へと移していると言われる。
そしてサンドバーグが勤めた14年間は変化の速い業界では恐ろしいほど長い期間といえる。去ることは不思議ではない。