平社員の6,474倍 高騰する米CEO報酬の是非

米国の最高経営責任者(CEO)の報酬増が勢いを増し、過去最高を更新する勢いである。「平社員」との間には壮絶な格差が生まれており、議論を呼びそうだ。

平社員の6,474倍  高騰する米CEO報酬の是非
"Andy Jassy" by jdlasica is marked with CC BY 2.0.

米国の最高経営責任者(CEO)の報酬増が勢いを増し、過去最高を更新する勢いである。「平社員」との間には壮絶な格差が生まれており、議論を呼びそうだ。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、同社がデータプロバイダーのMyLogIQから得た半数以上の企業の給与データを分析したところ、S&P500企業の経営者の給与の中央値は、昨年の1,340万ドルから1,420万ドルに上昇していることが明らかになった、と報じている。

報道によると、ほとんどのCEOが11%以上の賃上げを受け、約3分の1が25%以上の賃上げを受けた。一方、約4分の1のCEOの給与は減少しており、昨年S&P500種で最も給与が高かったPaycom Software Inc.のChad Richisonは、2億1100万ドルから約300万ドルに減少している。

昨年は、一般社員の給与も上昇したが、企業が報告する中央値で測定すると、より緩やかであった。WSJの分析によると、約半数の企業のCEOの給与は、2021年の労働者中央値の少なくとも186倍であった。これは、パンデミック前の年の166倍から上昇したことになる。

FTが引用したデータプロバイダーのISSコーポレート・ソリューションズの分析でも同様の傾向が描かれている。データが取得可能だったS&P500企業280社の場合、最高経営責任者の給与の中央値は2020年の1,350万ドルから、2021年には過去最高の1,420万ドルに跳ね上がったという。前出のMyLogIQとほぼ同じだ。

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FTが別に引用したデータ会社のEquilarによると、同社がデータソースとする196社の中央値は、2020年に1,200万ドルに落ち込んだ後、20%急上昇して1,430万ドルになったという。Equilarの労働者中央値とCEO中央値の比較では、2020年の192倍から2021年には245倍に上昇したとのことだ。

Equilarは、アマゾンが先週発表した10年間の株式権利確定を含む2021年のCEO、アンディ・ジャッシーの報酬は、従業員の中央値の6,474倍になったと発表した。この報酬はニューヨーク州スタテン島の倉庫での労組結成が確定した日に発表されている。

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