半導体ブームが終わるシナリオが浮上
成長の鈍化とタフな外的要因が増えたことで、半導体ブームが終焉を迎える可能性が浮上している。業界はここ数年の需要急増で過去最高の売上を記録するも、ブームは永遠に続くものではない。
成長の鈍化とタフな外的要因が増えたことで、半導体ブームが終焉を迎える可能性が浮上している。業界はここ数年の需要急増で過去最高の売上を記録するも、ブームは永遠に続くものではない。
アナリスト企業Omdiaの世界半導体市場の最新分析によると、5四半期連続で売上高を記録し、需要が継続的に増加した後、2022年第1四半期に横ばいに到達した。
前四半期比ではわずか0.03%の低下と、現状ではむしろ小幅な低下にとどまっている。Omdiaによると、第1四半期は、ホリデーシーズン後に需要が衰えるため、「ダウン・クォーター」となることも多く、例年の平均減少率は4.36%だ。
企業が部品を備蓄していることや、インフレなどの世界経済の影響により、チップ産業が減速に向かうとする警告が増えつつある中で、この報告書が加わった。
全四半期のわずかな落ち込みは、2020年に入ってから半導体市場が毎四半期、収益新記録を打ち立てた右肩上がりの直線を断ち切るものだと、Omdiaのシニアリサーチアナリストのクリフ・レインバックは英テクノロジーメディアThe Registerに伝えている。
Omdiaの分析によると、ほぼすべての半導体コンポーネントは、2021第4四半期に対して22年第1四半期に若干の連続的な成長を経験しているが、CMOSセンサは例外で、前四半期比16%減となった。
Omdiaは、第1四半期に作用したその他の要因として、世界的な原材料価格の上昇、インフレへの圧力、第1四半期の個人消費、特にスマートフォンへの支出の鈍化、さらに主要市場におけるパンデミックの継続的影響、スマートフォンおよび他の電子製品のサプライチェーンへの影響、を挙げているという。また、メーカーが新たな生産能力を増強することで、部品の供給過剰を招き、業界の生産能力過剰のリスクが高まると警告している。
外的要因変化が半導体産業にもショックを与える?
今月初め、アナリストのIDCは、半導体メーカーが今年も健全な通年成長軌道に乗ると予測する一方、チップ製造に必要な原材料の問題により、不足が2023年初めまで続くと強調した。また、メーカーが新たな生産能力を増強することは部品の供給過剰を招き、業界の生産能力過剰のリスクを高めると警告している
生産能力過剰はすでに引き起こされている可能性がある。調査会社のTrendForceは今週、家電製品の需要が鈍化しているため、システムベンダーや販売会社でDRAMの在庫が積み上がっていると明らかにした。これは、近い将来、彼らがそれほど多くのDRAM在庫を購入する必要がないことを意味し、インフレにもかかわらず、第3四半期にメモリ価格が3~8%下落する可能性があると予測している。
先月、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのアナリストは、チップ業界は2022年後半から2023年前半に在庫調整の時期を迎えると警告している。この見方は、第1四半期にサプライチェーンの在庫が増加し、複数の産業部門にわたる需要の鈍化と経済的背景が弱まったことで形成されたものだ。
今週、台湾の大手メモリーチップメーカーである南亜科技が、需要の減速により今年の売上が減少する可能性があると警告したとNNAが報じている。同社はその原因として、インフレが家電製品への支出を押し下げたことを挙げ、これがPCやスマートフォン企業の在庫調整につながっていると述べた。