データセンター業界の我が世の春は続く
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データセンター業界の我が世の春は続く

2022年第1四半期の世界のデータセンター需要が史上最高水準に達した。アジア太平洋地域では、稼働率が2021年を大幅に上回り、北米では施設建設における材料費高騰や労働力不足のような「成長痛」が生じている。

吉田拓史

世界有数のデータセンター不動産分析プラットフォームであるデータセンターホークは、2022年第1四半期のデータセンター市場総括のハイライトを公開し、同期に世界のデータセンター需要が史上最高水準に達したことを明らかにした。

同社は第1四半期末に実施した大規模な分析プロセスにおいて、北米、欧州、APAC地域の35以上の個別市場から収集した1万件を超えるデータセンター不動産のデータポイントを分析した。このデータと分析は、2022年4月に発表された包括的な要約に詳述されており、データセンター部門全体における主要市場の強い需要を示している。

「ハイパースケールユーザーとエンタープライズユーザーの両方がリースや所有のアプローチにシフトしており、現在と将来の需要ニーズを確保することに注力していることが明らかになった」と、データセンターホークスの創設者でCEOのデビッド・リギトはコメントしている。

パンデミック期間のデジタル化によって、データセンター業界は過去最大の需要に湧いている。戦略コンサルティング・市場調査会社ブルーウィーブ・コンサルティングの報告書によると、データセンター市場は2021年には2060億ドル規模となり、年平均成長率は10.2%とされた。データセンターの土地は2020年に最もパフォーマンスの高い不動産投資信託(REIT)のカテゴリーとなり、米国におけるデータセンター稼働率は2021年に前年比44.3%増となり、70%以上増加した上に、2021年に70%増となった。

特にアジア太平洋(APAC)地域全体でデータセンター開発のブームが起きている。データセンターホークスによると、APACの上位市場も同様の傾向を示し、稼働率は2021年を大幅に上回った。需要は堅調で、リテール、ホールセール、プレリースによるハイパースケールの要件が混在しているという。

北米市場も同様の例を見ない需要に後押しされているが、成長痛に直面しているようだ。建設コンサルタント会社タートン・ボンドのダーレン・フラッドは、最近公開された報告書で、データセンターのニーズはかつてないほど高まっているが、「COVID-19の変異株、制約の変化、制約されたサプライチェーン、強い需要が、予測不可能な市場を作り出している」と述べている。

不安定要因の1つがインフレで、米労働統計局(BLS)は直近の4月のインフレ率を8.3%としている。インフレは材料費に打撃を与えている。フラッドは、2021年に材料費が全体で25%上昇するというBLSのデータを引用し、第3四半期以降まで緩和されないと予想している。

全体的なインフレに加え、データセンターの建設に使用される材料の多くは、継続的なサプライチェーンの問題のために数ヶ月遅れているとのことだ。銅線は15〜17週間、鉄鋼は31〜33週間、アルミニウムは36〜38週間、電気機器は1年近くかかると予想されている。

コンクリート、石膏、HVAC機器、EIFSシステム、照明制御、スイッチギアと制御装置のすべてが2021年末まで値上げされ、中でも鉄鋼の値上げが最も大きく、前四半期に12パーセント上昇したと、フラッドは書いている。

また、労働力不足も続くと予想される。フラッドは、熟練労働者の不足、建設業界の退職率の高さ、ワクチンの義務化を挙げている。この労働力不足をさらに複雑にしているのは、多くのデータセンターが人里離れた場所に建設されるため、最盛期でも労働者を見つけづらいことだ。この問題を解決するには、労働者に一時的にでも移転してもらうための適切なインセンティブが必要だと、フラッドは主張している。

しかし、このような問題があるからといって、ハイテク業界の大企業が制約を受けることはないようだ。アマゾンは最近、カリフォルニア州サンタクララに新しいデータセンターを建設する計画を発表し、先月には120億ドルを投じてオレゴン州の地方にさらに5つのデータセンターを建設する計画であると発表している。