AI開発競争は気候変動を加速させうる

計算負荷の高い機械学習(ML)技術が、業界内でますます目立つようになってきた。専門家はAI開発競争は気候変動を加速させうると警告している。

AI開発競争は気候変動を加速させうる
Photo by Pan Yunbo 

Hewlett Packard EnterpriseのAIおよびHPC担当バイスプレジデントエヴァン・スパークス氏と、カーネギーメロン大学の教授(機械学習)アメート・タルウォーカー氏によると、AIが気候変動を加速させる可能性があると、今週開催されたSixFive Summitで語っている。

「ここ数年、計算負荷の高い機械学習(ML)技術が、業界内でますます目立つようになってきた。この結果、関連するエネルギー使用量の増加に関する懸念が高まり、これらのワークロードの二酸化炭素排出量とカーボンフットプリントに関する相関的な懸念が生じた」とスパークスは語った。彼は、AI/MLワークロードが今日の全コンピュート需要の半分以上を占めると推定している。

「大きな問題は、多くの注目されるMLの進歩が、驚異的な量の計算を必要とすることだ」と、HPEのAI研究者としても働くTalwalkarは、モデルの計算とエネルギー要件が2012年から30万倍以上増加したことを示す2018年のOpenAIのブログポストを引用して述べている。4年近く前の数字だが、似たトレンドが続いているようだ。

AI/MLワークロードの台頭は半導体の軍拡競争を促している。そして、Intel、NVIDIA、AMDなどの最新のCPU、GPU、AIアクセラレータは、競争に勝つために、かつてないほど多くの電力を引き出している。

これらのチップの熱設計電力(TDP)は、前世代に比べて実質的に2倍になり、NVIDIAのH100 SXM GPUの場合、最高で700Wに達している。AMDとIntelも似たようなものだ。AMDのMI250X GPUとIntelのHabana Gaudi2 AIアクセラレータは、いずれも全負荷時に約600Wの電力を必要とする。

1つのチップにこれだけのパワーを押し込めば、熱くなるのは当然だ。あまりの熱さに、ベンダーは今、冷却方法を真剣に見直している。液冷はもはやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)やハイパースケーラー、PCマニアのためだけのものではない。

Read more

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史