ジェネレーティブAIに投資家の熱視線が注がれる
様々なコンテンツを生成する「ジェネレーティブAI」が一般的な認知を得て、ベンチャー投資が加速している。スタートアップが大手より素早く動いてユーザーのニーズを掴む例が多く出ており、群雄割拠の様相だ。
様々なコンテンツを生成する「ジェネレーティブAI」が一般的な認知を得て、ベンチャー投資が加速している。スタートアップが大手より素早く動いてユーザーのニーズを掴む例が多く出ており、群雄割拠の様相だ。
最近、注目を集めたテキスト画像生成AIの「Stable Diffusion」を展開するStability AIは、約10億ドルの企業価値で1億100万ドルを調達した、と発表した。
Stability AIはその評価を正当化するだけのユースケースをすでに生み出している。最高経営責任者であるEmad Mostaqueの発言とプレスリリースによると、同社のWebアプリケーション「DreamStudio」のユーザー数は150万人以上、合計で1億7000万枚以上の画像を作成している。Stable Diffusionのユーザー数は全チャネルで1日1,000万人以上とのことだ。
Stability AIは、今回の資金調達により、ユーザー向けのカスタムバージョンのモデルをより大規模に展開し、コンピューティングの能力を高めるための投資を行う予定だ。また、雇用も増やしていく予定で、Mostaqueは、今後1年間で従業員が100人から約300人に増加する見込みという。
2020年に設立されたロンドンに本拠を置くStability AIは、2022年8月にStable Diffusionを一般公開し、AI業界で一気に有名になった。Stable Diffusionは、拡散モデルと呼ばれる新しい生成AI技術によって実現され、AIモデルにノイズを導入して画像を効果的に破壊し、再構築することで画像の構築方法を学習する技術を習得させるものだ。
Stable Diffusionは、大小さまざまな企業によって運営されている数多くのテキストから画像への変換プロジェクトの一つだ。GoogleとOpenAIは、それぞれImagenとDALL-E 2を展開し、Stable Diffusionの流行前にはMidjourneyが大いに話題を集めていた。
しかし、後発のStability AIが最も利用者が多いサービスに躍り出た。同社はオープンソース化で差別化を図っている。つまり、誰もが同社のコードを基に構築することができ、さらには自社の商用製品を動かすために使用することもできる。
ただ、Stability AIがかなりスピーディに資金を燃焼しているのは間違いない。機械学習モデルのトレーニングは、時間的にも計算量的にも負担が大きい。TechCrunchのインタビューによると、Stability AIはモデルの訓練にAWSで稼働する4,000個のNvidia A100 GPUのクラスターを使用したとのことだ。
このようなジャンルを主にビジネスサイドでは「Generative AI(ジェネレ―ティブAI)」と名付けているが、先週はもう一社、このカテゴリからユニコーンが生まれている。
オースチンのスタートアップJasperは、今週1億2,500万ドルを調達し、立ち上げから24カ月足らずで企業価値15億ドルにまで成長した。Jasperは、ユーザーがJasperに書いてほしい内容を記述すると、AIがブログ、ウェブサイトの文章、ソーシャルメディアの投稿などを生成する。月額40ドルからサブスクリプションを販売するJasperは、現在7万人以上の加入者と150人の従業員を抱えている。
このような「ジェネレ―ティブAI」は、最近その投資活動が低調になったと言われるベンチャーキャピタル(VC)が熱心に取り組むものの一つとなりそうだ。大手VCのセコイア・キャピタルのパートナーであるSonya Huangは、マーケティング・コピー、アート、ソフトウェア・プログラミングですでにその有用性が認められている、と語っている。
Huangは、ジェネレ―ティブAIが注目を集めている理由の一つについて「ひとつは、今、世界は暗い時代にあると思うからです。人々は何か希望となるものを探しており、ジェネレーティブAIはそのような存在に見えています」と話した。
AI分野への米VCの積極的な投資は以前からあり、最近の拡散モデルを使った画像生成の爆発的な広まりは最新の波にすぎない。少し前は、進化の速度がものすごく速い自然言語処理(NLP)スタートアップに多くの資金が投じられていた。JusperもNLPスタートアップのひとつである。