AI規制を声高に叫びながら誰もが巨大モデルにオールインしている現実
「AIの安全性」を巡る議論が噴出している。だが、主張のどれもが各々のステークホルダーの利益を代表しているように見える。実際には誰もが全てのリソースをAI研究に投じ、競争相手を出し抜こうとしている。

「AIの安全性」を巡る議論が噴出している。だが、主張のどれもが各々のステークホルダーの利益を代表しているように見える。実際には誰もが全てのリソースをAI研究に投じ、競争相手を出し抜こうとしている。
先日、イーロン・マスクやジョシュア・ベンジオなどのレジェンド級のAI研究者によって、巨大AI実験の減速とGPT-4より強力なモデルの訓練の一時停止を求める請願書が出された。この公開書簡には、今のところ約2万人の署名が寄せられている。
興味深いのは、請願者の一部にとっては、OpenAIがAI競争で先行するのを阻止するための「戦略的な呼びかけ」に過ぎないのではないか、と見受けられることだ。
その筆頭がマスクである。マスクはTwitter社内で大規模な人工知能プロジェクトを始動させたと報じられている。同社はすでに約10,000個のGPUを購入し、大規模な言語モデル(LLM)を含むプロジェクトのためにDeepMindからAI人材を採用したと米メディアBusiness Insiderは報じた。
深層学習に利用されるハイエンドGPU 約10,000個の購入は、数十億円から100億円以上までの投資を意味する。また、このGPUに計算させるのも非常に高価だ。Twitteは「不安定な財務状況」が続いているにもかかわらず、計算に数千万ドルを費やしたとされる。