検索は滅び、個人が独自のAIを持つ時代になる

英AI研究所DeepMindの共同創業者で、元Google AI部門管理職のムスタファ・スレイマンは、最近出演したポッドキャストで、私たちが知っているインターネットは根本的に変化し、旧来の検索は10年以内に消滅する、と語った。

検索は滅び、個人が独自のAIを持つ時代になる
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英AI研究所DeepMindの共同創業者で、元Google AI部門管理職のムスタファ・スレイマンは、最近出演したポッドキャストで、インターネット体験は根本的に変化し、旧来の検索は10年以内に消滅する、と語った。


AIスタートアップを創業したスレイマンは、Googleでの最後の期間、ChatGPTに似た対話AIのLaMDAに取り組んでいた。彼は、他の同僚とともに、このモデルを使ったChatGPTのような会話型製品を発売しようとした。だが、Google経営陣を説得できなかったという。

「様々な理由で、Googleにとって適切なタイミングではなかった…そして、私は、これは世の中に出なければならない、と思った。これは明らかにテクノロジーの新しい波になると確信した」

検索の失敗は広告

従来型の検索の失敗は広告に基づいた製品設計にあった、と彼は語った。「Googleがある意味偶然にインターネットに対して行ったことの問題点は、基本的に広告に最適化された方法でコンテンツ制作を形成してしまったことだ」とスレイマンは語っている。

検索最適化(SEO)のことである。これにより、ユーザーが延々スクロールし続けないといけないウェブページで世界は埋め尽くされてしまった。長文記事に苦戦するせいでユーザーがページに費やす時間を増やすと、Googleにはそれが高品質なコンテンツに見えてしまうという。これによってGoogleは必ずしもユーザーのためにならないコンテンツを表示してしまう。

それぞれが自分のパーソナルなAIを持つ

スレイマンは「私たちは、今後数年のうちに、誰もが自分だけのパーソナルなAIを持つようになる」と考えていまる。これらのAIはすべて、所有者に沿った独自の目的を持つようになる、と彼は想定している。

AIは、私たちがコンピューターと対話する方法に革命を起こす可能性があり、ウェブサイトを閲覧したり、広告をクリックしたりする代わりに、AIアシスタントと会話することで、必要な情報にアクセスできるようになる、と彼は語った。

現在のウェブサイトは、すべての人に同じ形式の情報を提供するように設計されているが、AIは、各個人のニーズに合わせた、より動的でパーソナライズされた体験を提供できることが、インターネット体験の大きな進歩になるという。これは、ユーザーにとってより魅力的だろう。

スレイマンは、デミス・ハサビス、シェーン・レッグと共同でDeepMindを設立。2014年にGoogleが買収した。2019年、スレイマンはDeepMindからGoogleのバイスプレジデント職に転身した。この異動は、DeepMindで、スレイマンがスタッフをいじめていたという疑惑について内部調査が行われたことを受けたものだった。最近では、 LinkedIn創業者リード・ホフマンとInflection AIという新しいスタートアップを立ち上げている。

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