
AppleとGoogleの支配にメス:アプリストア迂回策の「パンドラの箱」は開く?
日本の規制当局は、欧州連合(EU)やインドとともにAppleとGoogleのアプリストアにおける支配を解こうとしている。これは、自由な商慣行の始まりか、それとゲートキーパーらが押し返すか。
日本の規制当局は、欧州連合(EU)やインドとともにAppleとGoogleのアプリストアにおける支配を解こうとしている。これは、自由な商慣行の始まりか、それとゲートキーパーらが押し返すか。
政府のデジタル市場競争会議が先週まとめた「モバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告」は、アプリストアにおけるAppleとGoogleの独占的慣行にメスを入れることを意図した内容になっている。

読売新聞はデジタル市場競争会議の目的は「スマホ関連市場で競争を活発化させ、料金引き下げやサービスの多様化を促す」こととし、「早ければ来年の通常国会への法案提出を目指す」と示唆した。
インパクトが大きそうなのは以下の3点。
- アプリストアの迂回の許容。サイドローディング(純正アプリストア以外からのアプリのダウンロード)を認めるべき。
- アプリストア税の回避の許容。決済システムの利用が義務付けられ、アプリ内購入(IAP)やサブスクリプションに絡んで、15〜30%の「税金」の負担が必要だったが、アプリ開発者に好きな決済システムを選択できるようにする。
- プリインストールアプリがもたらす競争優位の排除。デフォルト設定のサービスが有利。変更を容易にする設定を求める方針(*1)。
これらが認められると、中国のように非純正のアプリストアが生まれ、1つのアプリに全てが載った「スーパーアプリ」と言われる、新興国型のビジネスモデルが勃興するかもしれない。
現状の課題は、AppleとGoogleが複数の役割を同時に担っていることだ。彼らはサードパーティのアプリ開発者に対してApple MusicやYouTubeアプリを提供する「競合」であり、ルール策定・執行を行う「審判」でもあり、収益の一部を徴収する「領主」でもある。