アリババクラウド、Arm CPUのインスタンス試用申請受付開始
アリババクラウド(Alibaba Cloud)は、昨年公開した国産Arm CPUを搭載したインスタンスの試用申請を顧客から受け付け開始した。Armチップをクラウドに投入するという欧米勢の試みを追走している。
アリババクラウド(Alibaba Cloud)は、昨年公開した国産Arm CPUを搭載したインスタンスの試用申請を顧客から受け付け開始した。
Yitian 710プロセッサは、最大3.2GHzで動作可能なArmv9互換のCPUコアを128個搭載している。5nmプロセスで製造されたダイ上の600億トランジスタのうち、8つのDDR5チャネルと96のPCIe 5.0レーンが搭載されている。
Alibaba Cloudは、このシリコンを自社のクラウド上のサーバーに搭載する準備が整ったことを、さしたる宣伝活動もなく明らかにした。このチップは、g8mと呼ばれるElastic Compute Service(ECS)インスタンスタイプに搭載され、1、2、4、8、16、32、64、128のvCPUのバリエーションを提供し、各vCPUは物理コアに対応している。
このインスタンスは、CPUコアをシリコンの速度上限を少し下回る2.75GHzで動作させる。
プレビューは2カ月間だけ実施され、その後、Yitianを利用したインスタンスは姿を消す予定だ。Alibaba Cloudは、試用期間中に本番ワークロードを実行しないよう警告している。提供されるインスタンスはわずか100台で、Alibabaによれば先着順だという。VMはAlibabaの中国杭州地区でホスティングされている。
トライアルを希望する場合は、Alibaba Cloudのアカウントが必要で、g8mインスタンスのウェブページから申し込むことになる。
Alibaba Cloudは、g8mインスタンスが、IntelやAMDプロセッサを搭載した現世代の汎用インスタンスと比較して100%高い「費用対効果」を提供すると述べているが、その比率が何を意味するのかについては説明していない。また、「g8m」インスタンスの価格も明らかにされていない。
Alibaba Cloudは、Amazon Web Servicesに遅れをとっている。Amazonはすでに、第2世代のArmプロセッサGravitonをさまざまな種類のインスタンスで提供しており、第3世代のArmプロセッサも計画中だ。Microsoftは先週、Armを搭載したAzureの提供を開始し、Oracle CloudもAmpereシリコンを搭載したArmサーバを提供している。
しかし、中国の巨大企業がこのゲームに参加したことで、Armを搭載したサーバはクラウドネイティブなワークロードに適しているという考え方にさらなる信憑性を与えている。