インターネットが世界人口の半分をつないだ Axion Weekly #1

未来はアジアにあります。インターネットユーザーは38億人と世界人口の半分に到達。うち53%がアジア太平洋地域に居住し、未普及の人々が地域人口の52%にあたります。

インターネットが世界人口の半分をつないだ Axion Weekly #1

♔Internet Trends 2019

毎年恒例のメアリー・ミーカーの「インターネットトレンド」が発表されました。インターネットユーザーは38億人と世界人口の半分に達しました。

未来は間違いなくアジアにあります。世界ユーザー38億人のうちうち53%がアジア太平洋地域に居住し、未普及の人々が地域人口の52%もいるのです。

Global Internet Users Via Internet trends 2019

インターネット人口の年成長率は2010年からじわじわと鈍りつつあります。インドのパフォーマンスが鈍ったことが影響していると想定できます。 低所得者層にスマホが行き渡る要件は以下の2つ。

  • スマホ購入と通信費に耐えられる世帯収入
  • 無線/有線ネットワーク

これらの要件は未接続の人々が属する社会に依存します。ドローン、人工衛星などによる安価な無線ネットワークの提供や「高価な知的財産権」を迂回したスマホ製造がゲームチェンジャーになるのではないでしょうか。

時価総額上位30位のうち9社がテクノロジー企業です。上位10社に絞ると7社がテクノロジー企業です。これは「Internet Trends」が開始した1995年とは全く異なります。またテクノロジー企業にカウントされていない企業たちは、市場から追い出されないようにソフトウェア企業化を勧めています。金融、小売、消費財、電機、エンターテイメント…の巨人たちが自分たちをソフトウェア企業に再定義しようとしているのです。まさしく"Software Is Eating the World(ソフトウェアが世界を食べている)"です。

300ページを超える超大作ですので、ぜひ一度目を通してみてはいかがでしょうか。

"Internet Trends 2019" by Mary Meeker

♕人類の半分がインターネット民

人類の半分がインターネットに加わりました。今年世界人口の半分がオンラインになりました。メッセージング、ビデオ、ストーリーテリング等をめぐるインターネットの余暇利用の欲求が、インターネットの驚異的な普及の要因です。今日のエントリーレベルのスマートフォンは、2007年に発売された最初のiPhoneよりも多くの電力と機能を満載しています。多くの場合10分の1以下の価格です。貧困国の消費者ですらいまやメッセージング、ビデオ、ストーリーテリングを望んでおり、モバイルインターネットは10年前よりはるかに優れています。

興味深いことにモバイルデータ通信の1GBのあたりの価格は0.26ドルのインドが最も安く、スーダンが0.68ドルで後を追います。基本的には新興国のほうが安く無線ネットワークを楽しめる構図であり、これは「革命が起きている」と表現することもできるでしょう。

インドの急成長の規模とスピードは、Reliance Jioが始めた価格戦争に大きく起因しています。 しかし「インターネットの残り半分」の到達は「最初の半分」が示した速度に及ばないと予測されます。次の7年間で710メートルの新しいインターネットユーザーが生まれると予測されていますが、それは過去7年間に到着した数の半分に過ぎません。まだまだ巨大な塊を世界は残すことになるのです。

The Economist "The second half of humanity is joining the internet"

The Economist  ”How the pursuit of leisure drives internet use”

♖セールスフォース、Tableau を153億ドル買収

セールスフォース・ドットコムがソフトウェアメーカーのTableau を153億ドルで買収しました。Tableauが提供するBusiness intelligenceツール が、ソフトウェアメーカーが自社製品によって収集されたすべての消費者データを企業の顧客の利益のために利用できるようにするという最近のマーク・ベニオフのビジョンの一端を担うことになるか。

Bloomberg "Salesforce Patches Up a ‘Flop’ With $15 Billion Bet on Tableau" By Nico Grant

♗Netflix ゲーム事業開始へ

Netflix Inc.は、その番組を基にして新しいビデオゲームを発表し、ストリーミングプラットフォームをマルチメディア帝国に変える取り組みを加速しています。Netflixはまた1980年代のジム・ヘンソン映画の前編である「The Dark Crystal:Age of Resistance」のライセンスも取得しており、今年後半に発売予定。同社はビデオゲーム自体を開発したり制作したりするのではなく、代わりに外部のスタジオにキャラクターをライセンスすることを選びました。

Bloomberg  ”Netflix Takes Step Toward Multimedia Empire With New Video Games” by Lucas Shaw

♘ Huawei 7年もOS開発していた

Huaweiは、少なくとも過去7年間は秘密裏にAndroidのライバルを開発してきたと、アリババが所有するSCMPが伝えています。Huaweiは、Google AndroidやWindowsの使用が禁止されていれば、今年中国で発売する準備が整っている可能性があったそうです。Huaweiは10年近く前にすでにこの事態を予測していたのでしょうか。最も大きな技術上の課題は「Huawei OSとAndroidの互換性」とのことです。

Inside Huawei’s secretive plans to develop an operating system to rival Google’s Android

♙ DXとはソフトウェア企業になること

アメリカ企業のデジタルトランスフォメーションとは、ソフトウェア企業として生まれ変わること。デジタルディスラプションに恐怖する既存ビジネスはどのような変化も飲み込む準備があるようです。

例えば投資銀行のゴールドマンサックス。2017年2月時点で、社員の3分の1がコンピュータエンジニアになってしまっている。2000年に600人いた株のトレーダーはこの時点で2人だけ。代わりに200人のコンピュータエンジニアが構築・管理する自動トレーディングシステムが粛々と稼働している。

渡辺千賀 ”米国企業のデジタルトランスフォメーションとはソフトウェア企業になること”

AXION はジャーナリスト・編集者を募集しています

ここまで読んでくれた人、どうもありがとうございます。「経済ニュースのネットフリックス」を目指す axion はジャーナリスト、編集者を募集しています。 axion の事業計画等はすでに固まっており、メンバーが集まり次第事業拡大を仕掛けていこうという段階です。ここで説明したPMのようなキャリアを考えているメディア業界の人にとって axion はまたとない機会です。起業家精神あふれるメディア人になりませんか?

食事、お茶などしたい人はぜひTwitterのTwitter (@taxiyoshida) か [Facebook] (https://www.facebook.com/taxi.yoshida)、あるいはメール yoshi@axion.zone まで。もともと新聞記者だったので雑談慣れしています。給与は業界上位と同等、福利厚生・カルチャーは”Work Rules"に準拠します。初期メンバーには議決権が制限された Common Stock(生株)を配ります。ご連絡をお待ちしております。

ジャーナリスト・編集者

何をするか

  • ビジネス系コンテンツ制作
  • 企業取材等による記事執筆や編集業務

好ましい経験

  • 出版社、新聞社、デジタルメディアなどでコンテンツ制作の経験
  • 経済、テクノロジー分野における取材・編集経験
  • アナリティクスツールを利用した簡易な分析経験

ベネフィット

  • 給与は年俸制、年俸の12分の1を毎月支給
  • スキル・経験・能力に応じて給与を決定。メディア業界の水準に従う
  • 株式、あるいはストックオプション(新株予約権)

休日・休暇

  • 完全週休2日制(土日)
  • 祝日・有給休暇(入社時10日付与)、夏季・年末年始休暇、慶弔休暇

福利厚生

  • 各種社会保険完備
  • 自由な勤務体系:12時〜16時をコアタイムとするフレックスタイムを導入しています。
  • 一番パフォーマンスのあがる環境:希望のPC、周辺機器等を予算のなかで選んでもらいます。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

By エコノミスト(英国)