誰が何を得た?自動運転車競争の行方 AXION WEEKLY #4

自動運転は各社がその技術的アドバンテージを秘匿しあっており、誰が先行しているのか分かりづらい。イーロン・マスクは相変わらず大ぼらを吹いている。だから余計分かりづらい。

誰が何を得た?自動運転車競争の行方 AXION WEEKLY #4

🐯Waymoがカリフォルニア州で自動運転車に乗客を乗せることの許認可を取得

Waymoは、カリフォルニア州公益事業委員会から州の自律型乗客サービスパイロットプログラムへの参加を許可された。Waymoは、Zoox、Autox Technologies、Pony.aiに続き、パイロットプログラムに参加した4番目の会社。この許可は3年間有効ですが、カリフォルニアの自律走行車両試験プログラムとは別のもの。 60社以上が州内の自動運転車のテストを許可されている。違いは自動走行車に客を乗せられるかどうか。乗客を乗せたパイロットプログラムは、Waymoの自動走行の提供を一歩先に進めた形だ。

最近Waymo関連のニュースが多く、Waymoは先月末に倒産したロボットスタートアップAnkiから13人のエンジニアを雇用し、自動走行トラックの開発に振り当てるというし、RenaultとNissanはWaymoとの独占アライアンス契約を締結してもいる。その契約はフランスおよび日本での乗客および配達のためのドライバーレスモビリティサービスを模索するためのものである。5月にはアリゾナ州フェニックスでは、乗客はLiftのアプリでWaymoの自動走行車を呼び寄せることが可能になってもいる。

Waymoは「ドライバーレスモビリティサービス」「ロボットタクシーサービス」と呼ばれるUberやLyftの「次の形態」を目指している。

少し経緯を振り返ってみよう。Waymo と Uberはかなり込み入った2017年から2018年にかけて訴訟をしていた。

Wiredによると、Waymo側は、Anthony Levandowskiを含むGoogleの3人の従業員が、自律走行車の移動を支援するために使用される一種の発光レーダーLiDAR(ライダー)に関する企業秘密を盗んだと主張している。 Waymo側は2009年にWaymoプロジェクトを共同設立したLevandowskiが、2016年1月に、自動運転トラックのスタートアップであるOttoを設立する前に、約14,000の秘密文書をダウンロードしたと主張している。2016年8月、UberはOttoを6億8000万ドルで買収した。 そして、LevandowskiをUberのエンジニアリング担当副社長にした。Waymo側はUberがLevandowskiが盗んだ企業秘密を不正利用した疑いがあると主張していた。

訴訟は2018年2月にUberが2億4500万ドル相当の未上場株式をAlphabetに渡すことで和解に落ち着いた。自動走行車プロジェクトのカギであったLevandowskiはUberから解雇された。この訴訟はUber側の足を止めるのにかなり役立ったように見える。

Uberは2018年3月に1人が自動運転車にはねられる事故を起こしていまい、これが後を引いている。

自動運転車、ロボタクシーの競争ではWaymoがリードしているように見える。が、もうひとつ外せない勢力がある。

独自路線のテスラ

テスラは4月の”Tesla Autonomy Day”で同社の自動運転技術とロードマップ」についての発表をまとめて行った。詳しくはYou Tubeにすべてある。

新しい自動走行専用チップ「FSD(フルセルフドライビング)チップを紹介した。テキサス州のSamsungが製造した高性能の専用チップで、自動走行車の自律性と安全性を念頭に置いて製造されている

イーロン・マスクは「同社が現在のシステムよりも約3倍優れていると想定される次世代チップの設計プロセスのほぼ中間にある」と語っている。

テスラは自動運転技術の実装を3Dセンサーなしでやろうとしている。ただ、業界では自律走行車の実現にはLiDARと呼ばれるレーザーセンサーが不可欠との認識が一般的だ。さっきのWaymoのUberへの訴えでLevandowskiが退職時に持ち去った疑いがかけられたのもこのLiDARに関する文書だ。

マスクは、2020年半ばまでに、テスラの自律システムは、ドライバーが道路に注意を払う必要がなくなるまで改善されていると想定している。彼は、同社が来年米国のいくつかの地域で「ロボタクシー」を展開すると語った。このサービスはテスラの所有者が自分の車をテスラのネットワークに追加することを可能にするだろう、それはUberかAirbnbに似ているだろうと彼は主張している。彼はテスラのオーナーが利用しないときに自動車をネットワークに渡すことで年間3万ドルを稼げると主張している。

自動運転は各社がその技術的アドバンテージを秘匿しあっており、誰が先行しているのか分かりづらい。イーロン・マスクは相変わらず大ぼらを吹いている。だから余計分かりづらい。ただ、Waymoは着々と物事を前進しているような印象を今週のニュースから受けたかもしれない。

🐼セブンペイ開始と同時にクラックされる

セブン&アイ・ホールディングス独自のバーコード決済サービスとして2019年7月1日に始まった「7pay(セブンペイ)」。開始早々の7月2日夜ごろよりSNS上で「何者かに不正にチャージされ、その残高を利用されてしまった」との報告が上がり、翌3日にはセブン&アイがクレジットカード経由でのチャージを停止。同社のサービスはメールアドレスと生年月日の入力でパスワードリセットが可能というセキュリティホールをもっているほか、クラックしたグループは別の脆弱性もついていた可能性がある。記者会見では、運営会社幹部に余りITリテラシーがないことが明確になり、日本的組織の現状を浮き彫りにした印象があった。

7pay不正利用、経営陣に技術を見る目とビジョンはあったか

🦊CDNのCloudflareがダウン

日本時間3日、ネットワークサービスプロバイダのCloudflareは、突如サービスのすべてを停止させ、それとともにDiscord、Marketo、Down Detectorなどを含むインターネットの大部分を停止させ、重大な機能停止を被った。

CloudflareはCDN提供者であり、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)というネットワーク経由の脆弱性攻撃への保護を提供し、世界最大のDNSプロバイダーの1つでもあった。このダウンには様々な憶測が飛び交っているが、Cloudflareが公式の発表をするまで待ちたいところだ。

DSC ”Cloudflare CEO talks outage: "This was entirely our problem, this was a mistake which we made" [July 02, 2019 By Sebastian Moss]

🐧フェイスブック暗号通貨はどう規制されそうか?

日米のテック業界で経験の深い法律家増島 雅和さんのフェイスブックの暗号通貨リブラの評価。主に国際規制でどのような評価をうけ、どのような規制対応を求められるかを予測し、またそれに関わる論点を提示している。

Masakazu Masujima "Libra preliminary review from macro-prudential supervisory perspective" (Jun 30, 2019)

🦁フェイスブック暗号通貨の経済学

計量経済学者ジャームズ・ハミルトンのリブラに関する所管。ハミルトンはリブラは国家が独占的に楽しんでいるシニョリッジ(通貨発行益)を、民間でも楽しもうとする試みと捉えれている。リブラは実質的に100%の準備がある固定相場制度であり、急速に変異しているシャドウバンキングの世界に新たな次元をもたらすことになると警戒する。「そしてそれを誰が規制するのか,もしくは規制できるのかははっきりしていない」。リブラが成功すれば、負の利子率を強制する政府の能力が損なわれる可能性があるものの、リブラが決済制度の効率性を改善するのであれば,それによって生み出された富が新たな税収対象を作り出すかもしれない、と指摘している。

「これはおもしろい実験だ。これからどう展開するんだろうか」

経済学101, ジェームズ・ハミルトン「Libra:Facebook暗号通貨の経済学」(2019年7月1日)

Image via Waymo

🐰AXIONは参画者を募集しています

ここまで読んでくれた人、どうもありがとうございます。「経済ニュースのネットフリックス」を目指す axion は参画者を募集しています。 axion の事業計画等はすでに固まっており、今後の事業拡大にともない常に人が必要になる状況に直面すると想定しています。今すぐ参画するというのではなくとも一度お話をする機会があると色々いい形になるのではと思います。

必要な職責者

  • ソフトウェアエンジニア(フロントエンド、バックエンド=API、SRE)
  • CFO
  • メディア事業開発
  • データ分析
  • デジタルマーケター
  • ソーシャルマネジャー
  • PM
  • バックオフィス
  • 編集者、ジャーナリスト

数度のファイナンスの後必要になる職責者

  • 機械学習エンジニア
  • データ基盤エンジニア

食事、お茶などしたい人はぜひTwitterのTwitter (@taxiyoshida) か [Facebook] (https://www.facebook.com/taxi.yoshida)、あるいはメール yoshi@axion.zone まで。もともと新聞記者だったので雑談慣れしています。給与は業界上位と同等、福利厚生・カルチャーは”Work Rules"に準拠します。初期メンバーには議決権が制限された Common Stock(生株)を配ります。ご連絡をお待ちしております。詳しくはこちら

ジャーナリスト・編集者

何をするか

  • ビジネス系コンテンツ制作
  • 企業取材等による記事執筆や編集業務

好ましい経験

  • 出版社、新聞社、デジタルメディアなどでコンテンツ制作の経験
  • 経済、テクノロジー分野における取材・編集経験
  • アナリティクスツールを利用した簡易な分析経験

ベネフィット

  • 給与は年俸制、年俸の12分の1を毎月支給
  • スキル・経験・能力に応じて給与を決定。メディア業界の水準に従う
  • 株式、あるいはストックオプション(新株予約権)

休日・休暇

  • 完全週休2日制(土日)
  • 祝日・有給休暇(入社時10日付与)、夏季・年末年始休暇、慶弔休暇

福利厚生

  • 各種社会保険完備
  • 自由な勤務体系:12時〜16時をコアタイムとするフレックスタイムを導入しています。
  • 一番パフォーマンスのあがる環境:希望のPC、周辺機器等を予算のなかで選んでもらいます。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

By エコノミスト(英国)