『原神』大ヒットが日本のゲーム産業に与えた衝撃
日本のファンタジー・ロールプレイングゲームをほぼ絵に描いたように再現した「原神」は、数十億ドルを稼ぎ出し、高齢化したゲーム大国日本に衝撃を与えた。日本のゲーム産業の衰退は止める手はあるのだろうか。

[著者:Ben Dooley, Paul Mozur]世界で最もホットなモバイルゲームの一つ、『原神 - Genshin Impact 』は巨大ロボット、人間大の剣、巨大な目と虹色の髪を持つキャラクター、メイド服の女性への不可解なこだわりなど、日本の発明品の特徴をすべて備えている。
ただ、1つだけ難点がある。それは、中国産であることだ。
2020年末に発売されたこのゲームは、中国のゲーム業界にとって初の本格的な国際的大ヒット作となった。モバイルアプリを監視するSensor Towerによると、発売初年度に20億ドルを売り上げ、モバイルゲームとしては過去最高を記録した。また、他の中国の人気ゲームとは異なり、収益のほとんどを海外から得ているとみられている。
このゲームの成功は、日本と米国が長年独占してきた2,000億ドル規模のグローバルゲーム産業におけるパワーバランスの変化を示唆している。
中国の開発者は、国内の膨大な市場から得た資金をもとに、成長を求めて海外に目を向けている。中国企業は、日本の人材を買収し、日本のゲーム業界のリーダーを長年にわたって模倣してきた教訓を生かし始めている。

ある意味では、中国はすでにアジアの隣国を凌駕し始めている。日本のゲーム会社のアウトソーシングを10年以上続けてきた結果、世界レベルのエンジニアリング能力を身につけ、ネットイースやテンセントなどの中国企業は、日本の競合他社が夢見るようなゲーム開発への投資を行っている。
しかし、『原神』は、中国のゲーム産業が技術的に卓越していても、クリエイティブな面ではまだ大きな欠点があることを思い起こさせるものでもある。中国的な要素もあるが、『原神』は日本で最も人気のあるゲームジャンルの一つであるファンタジー・ロールプレイングゲームをほぼ完璧に再現している。
上海の会社miHoYoは、自らを「オタク」と称し、漫画やアニメなど日本のポップカルチャーに親しんでいる人たちを指す言葉として、誇りを持ってこのゲームを制作している。