中国型eコマースが南米で大ヒット
新興国型のモバイルインターネットが発達し、国民の多くが低所得者のブラジルでは、中国モデルのeコマースの移植が成功している。
要点
新興国型のモバイルインターネットが発達し、国民の多くが低所得者のブラジルでは、中国モデルのeコマースの移植が成功している。
Diego Dzodan、Luciano Freitas、Vitor Zaninottoの3人は「従来のeコマースの障壁を排除して、ブラジルやラテンアメリカ全体の低所得者層に手頃な価格の商品へのアクセスを提供する」というミッションを掲げて、2018年にFacilyを設立した。
具体的には、Facilyは、グループ購入によって消費者を最安値に結びつけるゲーミフィケーション型のアプリを通じて、生産者にはより多くの報酬を、商品購入者には「より安く売る」、より包括的なEコマース体験を提供することを目指している。Facilyは、低所得者層がオンラインで買い物をしやすいように、事業を展開する都市にピックアップポイントを設け、銀行振込から現金まで、さまざまな支払い方法を提供し、送料も無料にしているという。
このモデルが興味深いのは、他のラテンアメリカ諸国と同様に、ブラジル人の多くが銀行口座を持たない、あるいは銀行口座を持たないという点だ。そのため、クレジットカードやデビットカードを使わずにオンラインで買い物ができるようになると、これまでオンラインで買い物ができず、同じ商品を実際に購入しても高い費用を支払っていた多くの人々に門戸が開かれることになる。
ブラジルの人口の約85%が低所得者と言われている。低所得者は、世帯収入の平均65%を食費に費やしており、これまで伝統的な電子商取引から実質的に除外されてきた。Facilyはこのようなニーズに応え、ユーザーのほとんどが初めてオンラインで買い物をしている。
Facilyが参考にした中国のPinduoduo(PDD)もまた中国の3級以下の都市や地方の居住者をターゲットとしてアリババやJD.comのリードに食い込んだ。ブラジルの所得分布を比較してPDDの戦略に有効性を見出したのだろう。
Facilyは同社のアプリが現在、ブラジルで最もダウンロードされたトップ3の1つであり、ブラジルで最も急速に成長しているアプリの1つである(App Annie調べ)。
同社は世界的に見ても史上最も急速に成長しているEコマース食品アプリであると主張している。PDDも同様のバイラル性で創業からたった4年で時価総額10兆円を達成している。
同社は、収益については明らかにしていませんが、過去1年間で「指数関数的な月間成長」を遂げたと語っている。この成功の要因は、資産を持たないビジネスモデルと物流ネットワークにあるとしている。
来年の第1四半期の販売額を予測すると、2022年の年間取引額は10億ドルを超える可能性があると米テクノロジーメディアThe Informationは報じている。Facilyは現在ブラジルのみで展開しているが、2022年半ばにメキシコとコロンビアでもアプリを開始する予定だ。
Shopeeも急成長
シンガポールのSea Limitedが展開するShopeeもブラジルで急速にシェアを拡大しているeコマースアプリだ。Shopeeもまた中国で成功した戦略をことごとく詰め込んだスマホアプリであり「東南アジアの淘宝網」と呼ばれることもある。しかも、淘宝網のマーケットプレイスの要素に加えて、PDDのゲーミフィケーションの要素やKuaishou(快手)のライブストリーミング配信、カジュアルゲーム等が詰め込まれている。
App Annieの報告書によると、Sea LimitedのEコマースアプリケーションであるShopeeは、2021年6月26日時点でブラジル、メキシコ、チリ、コロンビアのGoogle Playストアのショッピングカテゴリでダウンロード数トップ5に入っている。さらに、Sensor TowerとGoldman Sachsのデータによると、「Shopee」、南米での2021年のダウンロード数で地場最大のMercado Libreを大きく上回り、EC最大の地位を確保している。
料金の安さが魅力の一つだ。ゴールドマン・サックスの最近の報告書によると、Shopeeは最近料金を値上げしたにもかかわらず、特定の商品についてはブラジルの他の主要なプラットフォームと比較して最も低い手数料を売り手に課している。
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