個性は人々の相互作用、行動、および感情の背後にある重要な要素であるため、他人の個性を把握することは、社会生活を成功させるために不可欠なスキルだ。 正確な人格判断は社会的認知スキルに由来するが、機械学習の発展により、コンピューターモデルも有効な判断を下せるようになってきた。

ケンブリッジ大学のウ・ヨウヨウ(Wu Youyou)氏とスタンフォード大学のミカル・コジンスキー(Michal Kosinski)らの行った研究は、コンピュータベースの人格判断が、人間が行うものよりも正確であると主張した。

ヨウヨウらの調査には約86,000人が参加した。参加者は「MyPersonality」という Facebookアプリをダウンロードし、設問に答えることで、Big Fiveモデル(寛容性、誠実性、外向性、協調性、情緒安定性の5因子による性格モデル)に基づく性格のポートレートを作ることを求められた。

無数の類型をもつ性格のような要素群を、5つの因子に要約して表現する手法を主成分分析と呼ぶ。つまり、ヨウヨウらは主成分分析を人間の性格を、多数のデータポイントから採取される多量のデータを利用して、多次元的に理解するための一歩としたのだ。主成分分析とは、統計学上のデータ解析手法のひとつ。たくさんの量的な説明変数を、より少ない指標に要約する手法のことを指す。ビッグデータは多変量、多次元であるためそのままでは理解しにくいが、主成分分析を行うことにより、データの持つ情報をできる限り歪めず、かつデータ全体の雰囲気を可視化し、誰もが理解しやすい形にすることが可能である。

この研究では、コンピューターモデルと人間の間で、ユビキタスで重要な社会認知活動である人格判断の精度を比較する。いくつかの基準を使用して、デジタルフットプリントに基づく人々の人格のコンピューターの判断は、親しい人や知人(友人、家族、配偶者、同僚など)による判断よりも正確で有効であることを示した。 調査結果は、人間の人格は、人間の社会的認知スキルを伴うことなく自動的に予測できることを強調している、とヨウヨウらは主張している。

Fig. 1, Computer-based personality judgment accuracy (y axis), plotted against the number of Likes available for prediction (x axis). Source: Wu YouYou et.al. Computer-based personality judgments are more accurate than those made by humans.

コジンスキー氏の研究は、個々の情報はとても小さなものでも、何十、何百、何千という異なるデータポイントを集めて組み合わせることができれば、信頼できる予測を生み出すことが可能だと説明する。そしてFacebookはそのための非常に重要な素材である。

ケンブリッジ・アナリティカへの影響

論文は「人格判断において人間をしのぐコンピューターは、心理学的評価、マーケティング、プライバシーの分野で重要な機会と課題を提示する」と結論づけている。実際には最悪の種類のデジタルマーケティングがこの機会を活用したのだ。彼らの調査結果は、同じくケンブリッジ大学のアレクサンダー・コーガン教授の関心を引きつけ、最終的にはケンブリッジ・アナリティカが、選挙戦術への応用した可能性がある。同社は米大統領選挙でのドナルド・トランプの当選に重大な影響を及ぼしたと主張している。コジンスキーはケンブリッジ・アナリティカの前進の組織からの協力要請を断っているが、痛恨の思いだろう。

参考文献

Wu Youyou, Michal Kosinski, David Stillwell. Computer-based personality judgments are more accurate than those made by humans. 2015.

「主成分分析とは」.株式会社インテージ

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