急速に膨張する仮想通貨業界のロビイング
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急速に膨張する仮想通貨業界のロビイング

仮想通貨・ブロックチェーン市場が膨張するにつけ、各国政府が本格的な規制を検討しており、危機感を覚えた投資家や新興企業が法務アドバイザーやロビイストを雇う動きが活発化している

要点

仮想通貨・ブロックチェーン市場が膨張するにつけ、各国政府が本格的な規制を検討しており、危機感を覚えた投資家や新興企業が法務アドバイザーやロビイストを雇う動きが活発化している


バイデン大統領が8月に提出した米インフラ法案は、クリプト(暗号通貨、ブロックチェーンを包括する便利な用語)規制を国家的な議論の最前線に押し上げた。インフラ法案の中には、多くのクリプト企業に取引を税務署に報告することを義務付ける条項が盛り込まれていたからだ。議会の税制合同委員会の試算によると、この措置は10年間で280億ドル近くの税収をもたらす可能性があるという。

下院ではこの規則に従わなければならない「ブローカー」の範囲を狭める修正案が超党派で支持されていたが、クリプト業界の反発を受けて、11月、上院はこの修正案を法案に盛り込むことを見送った。最終的には、暗号通貨は何らかの形で存続することになるが、連邦政府は経済学者や学者、暗号通貨プラットフォーム開発者などの専門家に相談して、アプローチを真剣に考えている。

米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラーは12月中旬のウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに対し「全世界で2兆ドルを超える規模の暗号資産市場には、より多くの投資家保護が必要」と語り、規制厳格化の姿勢を明確にした。

これを受けて多額の資金を集めているクリプト業界は、規制への警戒心を強めている。その結果、ベンチャーキャピタル(VC)やクリプト企業の間で元政府関係者をロビイストとして雇う動きが活発化している。

ワシントンポストが引用したCenter for Responsive Politicsによると、2020年に280万ドルをロビー活動に費やした業界は、今年の最初の9カ月間ですでに490万ドルを費やしている。今年の支出の約半分は第3四半期に計上されており、これは、元連邦規制当局者を含む暗号技術者の名簿を、この3カ月間で60人以下から107人に増やしたためだとCenter for Responsive Politicsは説明しているという。クリプト企業の経営陣は、中間選挙で暗号に友好的な候補者を支援するための特別政治活動委員会(スーパーPAC)の設立など、権力者の味方を獲得するための他のツールを追加する方法を検討している。

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