D2Cのピークアウトと出口戦略 Axion Podcast #19

D2Cを巡る環境が難しいなか、スモールビジネスとしての展開は問題ないが、スタートアップとしての展開は厳しさを増している。ブームから曲がり角を迎え着陸地点はどこになるだろうか。

D2Cのピークアウトと出口戦略 Axion Podcast #19

Axion Podcastは、テクノロジー業界の最新トレンドを、元DIGIDAY編集者で起業家の吉田と280万会員の写真を扱うベンチャーの事業統括者の平田でディスカッションする対話形式のラジオです。Apple PodcastSpotifyGoogle PodcastAnchorでも聴取可能です。

要点

  • D2Cを巡る環境が険しさを増すなか、スタートアップとしての展開は厳しさを増している。ブームを終えた今、着陸地点はどこにあるか。
  • メーカーが対応するまでに顧客を囲い込むための電撃戦だが、すでに準備が整っている。

D2Cとは?

「Direct to Consumer」の略。企業対企業での取引を表すBtoB(Business to Business)や、企業対消費者を表すBtoC(Business to Consumer)などの表現があるが、生産者と消費者がインターネット上で直接取引を行う「小売」を指す。

インターネットサービスの普及や巨大プラットフォーマーの台頭を経て、Amazonのようなプラットフォームを介さず、自社サイトでの集客・販売を行い、企業が消費者と直接取引を行えるようになった。D2Cは中間業者がないので、良いものを安く売れる価格優位性があると訴えている。

D2Cの例

ダラーシェイブクラブの成功例

ユニリーバは2016年7月、ダラーシェイブクラブを13億7000万ドルで買収。2012年創業で買収時320万の会員がいた。2015年のDSCの売上高は1億5,200万ドルで、2016年には2億ドルを超えていた。ユニリーバは大量の広告費を抱える。

ソーシャルマーケティングで電撃戦

多くのプレイヤーがD2Cに勝機を見出した要因が、2014〜2015年の「バイラルメディア」の流行。バイラルメディアの社員がD2C会社を立ち上げた例もある。インフルエンサーマーケティングで話題作り。メーカーが対応するまでに顧客を囲い込むための電撃戦。

D2Cのいい点

流通の中間者を排除するため、マージンレートが高くなりやすく、積極的に顧客獲得が実行できる可能性がある。ソフトウェアエンジニアリングがあまり必要ない。北米でエンジニアの雇用は非常に大変。

ホスト

吉田拓史 YOSHI(@taxiyoshida):記者, 編集者, Bizdev, Product Manager, Frontend Engineer. 早稲田大学政治経済学部卒業後, ジャカルタで新聞記者を5年. 米系デジタルマーケティングメディアDIGIDAYの日本版創業編集者を経て, デジタル経済メディアAxion(アクシオン)を創業. プロフィールサイトLinkedInを参照. ■TwitterBlogNewsletterYou Tube

YASUYUKI HIRATA(@MUTRON):エレクトロニックミュージックのウィークエンドミュージシャン。平日は280万会員の写真を扱うベンチャーの事業成長が任務。ドイツのレーベルからEPをパブリッシュしたこともある。■TwitterWebsite

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

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新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

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ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

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今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

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