DNAシーケンシングの高速化で解析期間を数週間から8時間に短縮

スタンフォード大学医学部の科学者とその共同研究者が開発した新しい超高速ゲノム配列決定法を用いて、希少な遺伝性疾患を平均8時間で診断することに成功した。

吉田拓史

スタンフォード大学医学部の科学者とその共同研究者が開発した新しい超高速ゲノム配列決定法を用いて、希少な遺伝性疾患を平均8時間で診断することに成功した。

チームは、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に、12人の重篤な患者のDNA配列を調べ、そのうち5人(クンツマンを含む)の診断に成功したことを報告した。5人ともその情報が患者の治療方法の具体的な変更につながった。

論文によると、診断に要する時間は、通常8時間程度、短いものでは7時間18分と、現在の記録の半分以下だった。研究者たちは、この記録をさらに半分にすることができると確信している。

スタンフォード大学の循環器内科医で本研究の上級著者であるユアン・アシュリーは「(この研究で用いられた手法は)治療をより良いものにし、患者をより助けることができるだけでなく、より安く、お金を節約し、システムのコストを削減することができる。これは、すべての面で有利なことだ」と語っている。ポスドクのJohn Gorzynskiが主著者。

身長や目の色、特定の病気になりやすいかどうかなど、あらゆることに影響を与える遺伝子コードを調べることで、多くのことを知ることができる。医師にとっては、患者の症状が特定のDNA変異に関連しているかどうか、また関連しているとすればどの変異かを知ることで、どのような治療法や外科的処置を試すべきか、どのような処置を避けるべきかを判断するのに役立つ。

しかし、シーケンシングの結果を調べ、処理し、解釈するには、通常、数週間かかる。患者の中にはそのような時間の余裕がない患者もいる。また、原因不明の病気の解明のために入院すると、数万ドルの費用がかかることもある。

チームは、2020年12月から2021年5月にかけて、カリフォルニア州スタンフォードにある2つの病院に入院している重篤な患者12人を登録し、それぞれから小さじ半分ほどの血液を採取して遺伝子配列を調べた。そのうち5人の患者は、オフィスで1日を終える程度の時間で配列情報から遺伝子診断を受けた。参加者の年齢は3カ月から57歳までで、発作から心停止までさまざまな症状があった。

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