AI専門家1万人の壁を破る機械学習の自動化 Google Cloud AutoML

ニューラルネットワークの学習に関してハンドクラフトの側面が指摘されてきました。急速に多層化する畳み込みニューラルネットの学習においては黒魔術のようなテクニックが必要とされてきました。ネットワークを設計するプロセスは、しばしば著しいレベルの機械学習の専門知識を持つ専門家がかなりの時間を費やし、実験を幾度となく繰り返すことを必要とします。

AI専門家1万人の壁を破る機械学習の自動化 Google Cloud AutoML

ニューラルネットワークの学習に関してハンドクラフトの側面が指摘されてきました。急速に多層化する畳み込みニューラルネットの学習においては黒魔術のようなテクニックが必要とされてきました。ネットワークを設計するプロセスは、しばしば著しいレベルの機械学習の専門知識を持つ専門家がかなりの時間を費やし、実験を幾度となく繰り返すことを必要とします。

Googleはこの困難さをこう説明しています。「可能な全てのモデルの探索空間が膨大になりうるため、機械学習モデルを手動で設計するプロセスは困難である。典型的な10層のネットワークは10の10乗の候補のネットワークを持ちうる」。

ニューラルネットの学習を自動化

Auto MLというプロジェクトが公にされたのは今年の5月です。Googleは機械がニューラルネットの学習を助ける方法を見つけようとしています。もしこれが実現すれば、AIシステムを構築することから、多くの手作業を取り除くことができるかもしれません。

AutoMLでは、ディープラーニングのネットワーク設計を人間が一つひとつ試行錯誤しなくてもよい。強化学習アルゴリズムを使い、膨大な数のネットワークをテストできます。アルゴリズムのそれぞれの実行から得たフィードバックを、次の実行に向けた新たな候補の作成につ変えます。これを繰り返すことで、より優れた結果をもたらすモデル構造を導き出すということのようです。

テック企業は顔を認識できるスマートフォンアプリから自動運転車まで、あらゆることを約束しています。しかし、この新しい種類の人工知能を推進する複雑で時には神秘的な数学的アルゴリズムを構築するために必要な教育、経験、才能の持ち主は世界中の10,000人にすぎません。

Google、Facebook、Microsoftなどの世界最大のハイテク企業は、AI専門家に年間何百万ドルの給与を支払い、争奪戦を行っています。これらのスキルを習得するには長年の努力が必要なため、専門家が不足しているのです。このためAI専門家の作業を自動化するというアイデアは研究のホットスポットになっており、AIシステムが複雑になるにつれて必要となります。

誰でもモデル構築、AIの民主化

Alphabetが2014年に買収したDeepMindは、Googleのデータセンターの電気料金を削減し、Googleが新しい都市を地図にする能力を加速させました。 AutoMLはこれらのエキスパートをより生産的にしたり、熟練度の低いエンジニアが強力なAIを構築するのに役立つと考えられています。スンダー・ピチャイ氏は「私たちはこれを民主化したい」と語っています。誰もがニューラルネットの学習を行うAIをクラウドから活用できるようになるならば、AIは本当に水のようになるでしょう。

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OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

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OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

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アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史
新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)