
ESGファンドは“誇大広告”の約束を守れるか
【ブルームバーグ】欧州証券市場監督機構(ESMA)は2月11日に発表したレポートで、ファンドマネジャーがESGの顧客に伝えていることと、実際の配分戦略との間に「ミスマッチ」があると指摘した。
【ブルームバーグ】欧州でESG商品を販売しているファンドマネジャーは販売している商品が実際にマーケティングの約束を果たしているかどうか、もう一度見直す必要があるかもしれない。
欧州証券市場監督機構(ESMA)は2月11日に発表したレポートで、ファンドマネジャーがESGの顧客に伝えていることと、実際の配分戦略との間に「ミスマッチ」があると指摘した。これは、モーニングスターが、環境・社会・ガバナンスの基準を十分に満たしていないと判断した1兆円以上の投資ファンドからESGラベルを削除したことを受けたものだ。
この動きは、欧州のグリーンウォッシュ防止規則である「サステナブルファイナンス開示規則」(SFDR)が、まだ完全ではないことを示唆している。モーニングスターのサステナビリティリサーチ部門のグローバルヘッドであるホーテンス・バイオイによると、昨年末に根拠のないESGの主張をしていたファンドの「大部分」には、SFDRで作られた「第8条」(Article 8)というラベルが貼られていた。
これは、「ライトグリーン」とも呼ばれるカテゴリーで、ファンドに何を組み入れるかについて、運用会社にかなりの自由度が与えられている。そのため、SFDRの中でも人気の高いESGカテゴリーとなっており、資産運用会社は現在、SFDRのより厳格なグリーンカテゴリーである第9条に比べて、第8条に7倍以上の資金を割り当てている。しかし、この2つの条文に対する業界の解釈は異なっている。
ESMAは、SFDRの条文をどのように適用するかについて、投資会社の間で「不平等な理解」があることを示す証拠を目にしたと述べている。このことは、「ファンドマネジャーがこれらの条文に基づいて一貫性のない開示を行い、場合によってはグリーンウォッシングを効果的に引き起こす可能性がある」としている。また、除外ポリシーが誤解を招くものであったり、ESG統合戦略が結果的にESGの検討に「コミットしない」ものであったりするケースも「観察」されている。その結果、「誤った情報、誤った価格、誤った販売」のリスクが高まっているとしている。