駐米中国大使、EV供給網から自国を切り離す動きに警鐘を鳴らす

中国の駐米大使は、デトロイト自動車ショーへの訪問を機に、世界2大経済大国の「絡み合った」利益を強調し、中国を切り離そうとする潜在的リスクに対して警告を発した。

駐米中国大使、EV供給網から自国を切り離す動きに警鐘を鳴らす
9月14日(水)、米国ミシガン州デトロイトで開催された2022年北米国際自動車ショー(NAIAS)の参加者たち。

(ブルームバーグ) -- 中国の駐米大使は、デトロイト自動車ショーへの訪問を機に、世界2大経済大国の「絡み合った」利益を強調し、中国を切り離そうとする潜在的リスクに対して警告を発した。

「中国との関係を断つことは、世界最大の市場と最大の機会から切り離すことを意味します」と、秦剛氏は水曜日に開催された自動車ショーのインタビューの中で語った。両国の利益は「絡み合っている」とし、ゼネラルモーターズ(GM)の最新モデルは中国で「設計、開発、生産、販売」されており、一方でより多くの中国製自動車が世界に輸出されていることを指摘した。

中米間の貿易や政治的な緊張は、短期的には「確実に」業界の協力関係に影響を与えると、秦氏は指摘する。「しかし、この業界のサプライチェーンは過去数年の間に比較的よく確立されており、誰かがそれに介入したり、破壊しようとしたりしても、勝者はいないでしょう」、と彼は付け加えた。

この日のショーに出席したジョー・バイデン大統領は、米国の自動車市場を席巻している電気自動車(EV)の変革は、米国の技術革新によるものであると述べた。「かつてEVを買うには、あらゆる種類の妥協をしなければなりませんでした」と、バイデン氏は展示会を視察した後に述べた。「アメリカの創意工夫、アメリカのエンジニア、アメリカの自動車労働者のおかげで、すべてが変わりました」

しかし、秦史は世界的な協調の重要性を強調した。「電気自動車のバリューチェーン、特にサプライチェーンは非常にグローバル化している」と述べ、すべてのプレーヤーが「経済法則に則って仕事をする」ことを継続すると付け加えた。

中国と米国は、いくつかの貿易面で対立している。バイデン政権は今月初め、数千億ドル規模の中国からの輸入品に対するトランプ時代の関税を、関税の必要性を検討しながら継続することを認めると述べた。米国はまた、中国への高度なコンピュータチップの輸出抑制を行い、EVのサプライチェーン、特にバッテリーにおける中国製材料への依存度を下げようとしている。

北米国際自動車ショーとして知られるデトロイトは、かつて自動車メーカーにとって世界的なサーキットで欠かせない存在であり、トップ CEO と数十の主要ブランドを集めていた。

しかし、ラスベガスで開催されるCESなどのイベントとの競合や、パンデミック(世界的大流行)の影響で、近年はその存在感が薄れつつある。今年は、テスラをはじめとするEVの業界最大手が欠席し、中国の自動車メーカーも製品を壇上に上げていない。一方、中国のBYDと長城汽車は、いずれも10月に開催される今年のパリモーターショーに参加する計画を発表している。

Bloomberg News. China’s Envoy to US Warns Against Cutting Nation Out of EV Chain.

© 2022 Bloomberg L.P.

翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ

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