死屍累々...赤字EV企業とSPACの「危険な婚姻」

EV関連5社の時価総額はピークから400億ドル以上減少

死屍累々...赤字EV企業とSPACの「危険な婚姻」
Image by EVgo

要点

まだ十分な収益も生じていないEV関連企業にとって、特別目的買収会社(SPAC)は依然として唯一無二の出口戦略のようだ。ただ、先にSPAC上場を果たしたEV企業は目も当てられないパフォーマンスを示しており、今後も「事故」が続発すると考えられる。


EV充電ステーション新興企業のEVgoは、特別目的買収会社(SPAC)であるClimate Change Crisis Real Impact I Acquisition Corpとの合併が2日に完了し、ニューヨーク証券取引所でEVGOのシンボルで取引が開始された。逆合併が成立した2日、株価は14.36ドルで終了した。SPACの株価は10ドルが基準点であり、上場後の希薄化で潜在的な株価の中央値は7〜8ドルまで落ちるものであることを勘案すると、EVgoの市場デビューは好発進だったと言える。しかし、その後株価は続落し、7月14日現在、EVgoの株価は11.82ドルをつけている。

EVgoはSPACを通じて約5億7500万ドル(約597億円)を調達。ここにはPIPE(プライベートエクイティによる上場企業の私募増資の引き受け)での4億ドル(約415億円)が含まれる。ただ、EVgo既存株主の持ち分はこれらの投資家に対する報酬のためかなり希釈化し、得たキャッシュの一部はそのために計上される費用に充当される、ヘビーな取引でもある。

同社の財務状況は、2020年の調整後EBITDAが2,900万ドルの赤字、収益は1,400万ドルと推計されており、典型的なSPAC上場を目指す企業のものだ。例にもれず、同社とプレイベートエクイティの人々は、市場の急拡大とともに収益規模が膨張するストーリーを描いたようだ。

プライベート・エクイティとEVgoが訴える市場の急拡大とともに収益規模が膨張するストーリー。出典:EVgo.

EVgoは現在、米国の34州で800カ所以上の急速充電ステーションを運営している。昨年、EVgoはゼネラルモーターズとの提携を発表した。この提携により、EVgoはこの数を3倍に増やすとともに、テスラのスーパーチャージャーやフォルクスワーゲンのElectrify Americaネットワークに匹敵する高速充電機能を構築する予定。また、UberやLyftとも提携し、電動化された配車用自動車向けの充電器を供給している。

死屍累々

この1年間、EVの分野ではSPACの合併が相次いでいる。これは、テスラの時価総額が急上昇したことで、投資家がその勢いに乗じようとしたためだ。しかし、このルートで上場した企業の多くは、ここ数ヶ月、苦境に陥っており、悪評が広まっている。

Bloombergによると、SPACとの合併により上場したEV関連の新興企業5社(Nikola, Fisker, Lordstown Motors Corp, Canoo Inc, Arrival)の時価総額は、最高値で600億ドルに達していた。その後の修正は残酷なものだった。

空売りの攻撃、経営陣の混乱、業務執行上の問題により、投資家が見通しを見直すようになったため、3社は今週、最安値を更新した。これらの企業の時価総額は、それぞれのピーク時から400億ドル以上も減少している。

5社の企業価値が下がっていることは、SPACブームにまつわるリスクを明確に示しているだろう。Nikolaは電気と水素を動力源とするトラックメーカーとして、2020年6月にナスダック市場にデビューしてから数日後には、当時のフォードに匹敵する290億ドル近い価値がついていた。しかし、ショートセラーのヒンデンブルク・リサーチはトレバー・ミルトンが投資家を欺いていたことを告発する長文のレポートを作成した。米国証券取引委員会は調査を開始し、ミルトンはすぐに辞任した。

しかし、それでも、SPACは、EVの分野ではホットな上場手段だ。BNEFの最新データによると、2021年、EV関連のSPACは13社が合併を完了し、2021年後半にはさらに14社の買収が予定されているという。この中には、自動車自体の製造だけでなく、EV用車載電池のサプライチェーンや充電インフラに関わる企業も含まれている。

EVのバリューチェーンのほとんどの部分は非常に資本集約的であり、投資家向けのスライドデッキやパイロットプロジェクトから、毎週何千台もの自動車やバッテリーを生産する工場を建設するまでの道のりは長い。SPACは、これらの企業が活動を拡大するために必要な資金を調達する方法である。

これまでにSPACで上場した13社のEV関連企業は、約75億ドルを調達している。これらの企業の多くは、Nikola、Lordstown Motors、FiskerなどのSPAC上場企業は、自社で自動車を製造することを計画している企業だった。これらの製造会社は、上場数(7社)と資金調達額(45億ドル)でトップだった。

保留中のEV製造SPAC14社は、合計118億ドルの調達を目指している。テスラの元チーフエンジニアが率いるLucid motorsもその中に含まれており、40億ドル以上の現金を調達しようとしており、これまでのEV関連SPACの中で最大規模となる可能性がある。

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