加州でテスラがトヨタ超え、EVが新車販売の2割に

カリフォルニア州ではEVが自動車販売の2割を占めるようになり、トヨタを追い抜いた。これが他州でも繰り返されるのか。米国のEV化はかつて想定されたより加速している可能性がある。

加州でテスラがトヨタ超え、EVが新車販売の2割に
Photo by Martin Katler / Unsplash

カリフォルニア州ではEVが自動車販売の2割を占めるようになり、トヨタを追い抜いた。これが他州でも繰り返されるのか。米国のEV化はかつて想定されたより加速している可能性がある。


ブルームバーグはカルフォルニア州でEV化が予想以上に速く進展していると分析した(9月11日)。同州の主役はテスラだ。ブルームバーグのTom Randallは、米国のEV市場で60%のシェアを確保し、首位の座をトヨタから奪ったテスラは、従来型メーカーにとってEV転換が急務であることを強調している、と書いている。

特筆すべきは、米国のEV市場の底堅さで、100カ所のEV工場に2,000億ドルの投資が見込まれている。世界的にEVの普及が加速する中、カリフォルニア州の動向は米国のEVの将来について示唆を与えてくれるだろう、と彼は主張する。これ以外にRandallは以下のデータを提示した。

  • 過去5年間で、カリフォルニア州の新車販売のうちEVの割合が2%から22%に増えた。
  • カリフォルニア州は、新車販売の5%がEVとなる転換点を2018年に達成し、その後23ヶ国がそのリストに加わっている。
  • 州内のEVの採用ペースは減速の兆しを見せず、2022年と比較して2023年第2四半期の販売は70%増加。全米もカリフォルニアの3年後を追っており、このトレンドが続けば、2026年までに新車販売の4分の1がEVになる。

消費者の関心は高いが、実際の購入との間にギャップがある

調査会社Cox Automotiveのケリー・ブルーブックによる最近の調査は、2023年に米国でのEV販売が100万台に達する予測の一方、消費者の関心は過半数まで増加しているが、販売シェアは新車で8%、中古で1%に留まっている、と指摘した。

New Cox Automotive Study: EV Consideration at Record High, but Dealers Feel Unprepared - Cox Automotive Inc.
A gap exists between consumer enthusiasm for electric vehicles and their actual purchasing decisions, according to Cox Automotive research.

Cox Automotiveは2023年通年で米国で100万台の新型EVが販売され、2021年の2倍になると予測している。テスラの成長とは別に、2023年には33の新型EVモデルが導入され、2024年にはさらに50以上のモデルがデビューするとケリー・ブルーブックは推定している。

  • EVに対する消費者の関心は、2021年の38%から現在は51%に高まっている。しかし、この関心と実際の販売台数には乖離があり、2023年の新車販売台数に占めるEVの割合は8%に満たない。中古EV市場のシェアは1%にとどまる。
  • 需要が高まる一方で、EVの在庫水準も上昇している。6月までにEVの供給日数はほぼ100日に達し、業界平均のほぼ2倍となっている。
  • EV購入希望者にとっての障壁は依然としてコストであり、43%がEVは高すぎると感じている。充電インフラに関する懸念は、2021年の40%から32%に減少した。

消費者より懐疑的なディーラー

ブルーブックは、ディーラーは消費者ほどEVに関心があるわけではないことを指摘している。調査では、消費者の53%はEVが将来主流になると考えているのに対し、ディーラーの31%しか同意せず、45%のディーラーはEVの価値を疑問視し、82%は自動車会社からの投資要請を受けているが、サービス能力に課題があるという。テスラは自動車を直売しており、これが他社製品を扱うディーラーと競合関係にあることが、ディーラーの意識に影響している可能性がある。

  • EVオーナーは、メンテナンスやサービスのためにディーラーを必要としている。しかし、調査対象となったディーラーの半数以上が、EV特有のニーズに対応するための準備を十分に整えていない。
  • ディーラーは、より多くのDC急速充電器とBEV専門の技術者の必要性を強調している。現在EVを販売していないディーラーのうち、55%は今後1年以内に、34%は今後6ヶ月以内に販売を開始する予定である。

ディーラーにEVの在庫が残る

米メディアGristWiredが引用したリサーチ会社Wards IntelligenceとCox Automotiveの調査は、EV販売が税額控除の恩恵を失っても頑強である一方で、ディーラーのEV在庫は内燃機関車の2倍に膨れ上がっていることにも触れた。

EV sales hit record. So why do some experts predict a slowdown?
Consumers bought a record number of electric vehicles in the second quarter of the year, but inventory is also accumulating on dealer lots.
  • 米国では、4月初旬から6月末までの間に、消費者は約30万台のEVを購入したという。これは、前年同期比でおよそ50%急増したことになり、連邦税額控除規則が厳しくなってから最初の2ヵ月間である5月と6月の伸びも含まれている。プラグイン・ハイブリッドの販売台数も増加した。
  • 6月末時点でディーラーの内燃機関車在庫は平均約53日分だった。一方、EVの在庫残はその倍以上である。全体として、第2四半期には9万2,000台以上のEV在庫がある。前年同期は約2万0,000台だった。

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