Facebookの政治広告は米大統領選挙最大の不安要因

Facebookは政治広告を停止しないばかりか、政治広告に対するファクトチェックもしない方針だ。内部事情を知る元従業員、現職の従業員からポリシーへの疑義が呈されているが、Facebookは現状、ビジネスを最優先する方針を示している。

Facebookの政治広告は米大統領選挙最大の不安要因

Facebookは今年の米大統領選挙において、言論の自由を守るため、政治広告の規制を行わない方針だ。これまで、Twitter、Google、Spotify等の大手テクノロジー企業が政治広告の出稿を停止すると表明してきた。彼らがそのような決定を下した背景には、ケンブリッジ・アナリティカ事件ソーシャルメディアの兵器化による誤情報の流布と有権者の操作等の問題がある。だが、2016年の混乱の震源とも言えるFacebookは政治広告を停止しないばかりか、政治広告に対するファクトチェックもしない方針だ。内部事情を知る元従業員、現職の従業員からポリシーへの疑義が呈されているが、Facebookは現状、ビジネスを最優先する方針を示しており、今年の米大統領選挙に大量の不確実性の種を蒔いている。混乱は繰り返されるのか。

Yael Eisenstat は政治広告へのファクトチェック等、2016年の大統領選挙の悪夢を繰り返さないための提案を経営陣に進言した後に、職責から外され、6カ月で退職した。彼女は退職後、Facebookの政治広告について積極的に発言してきた。彼女は11月初旬に「I worked on political ads at Facebook. They profit by manipulating us.(私はFacebookで政治広告に取り組みました。 彼らは私たちを操作することで利益を得ています。)」という衝撃的なタイトルの寄稿をした。

Yael Eisenstat はCIA職員、東アフリカにおける外交官、バイデン副大統領特別補佐官を経て、Facebookで半年勤めた後は、いまはコーネル大学のCornell Techで客員フェロー、Center for Humane TechnologyのGlobal Policy Adviserを務めている。

Eisenstatは2018年6月にFacebookに入社した。政治広告に焦点を当てた会社のビジネスインテグリティ組織の「Global Elections Integrity Ops」の部門長のポジションを得た。 彼女はそれまでのキャリアで「言論の自由を含む民主主義を強化し擁護するために」働いていたが、Facebookでの政治広告に関して働くことで「民主主義に対する最大の脅威の1つであり、主要な役割を果たしているFacebookの進路を修正する機会を得ることができる」と同社への転籍を決断したという。

EisenstatはFacebookが抱える政治広告に関する問題の解決を図ろうと、社内のコラボレーションツール等で、政治広告に対してファクトチェックを行わない同社のポリシーについて問題提起をしたそうだ。彼女は政治広告に取り組んでいる彼女のチームに、ページやオーガニック投稿(通常投稿)の誤情報に対処するために開発しているファクトチェックツールを、政治広告にも組み込むべきかどうかを尋ねた。Facebookは政治広告に対してはファクトチェックツールを使わないようにしていたが、Eisenstatはなぜ会社がプラットフォーム全体に異なるポリシーとツールを適用していたのかはわかなかったとワシントンポストへの寄稿で記している。 ほとんどのユーザーはオーガニックコンテンツと広告を区別しないのだ。

彼女は、ワシントンポストへの寄稿で、収集した膨大な量のデータに基づいてキャンペーンや他の政治組織がユーザーをターゲットにできる政治広告で、Facebookがお金を稼いでいるという事実は、政治広告が、人々がオーガニックで投稿しているものよりも、高い基準にさらされる必要があること意味している、と指摘している。

さらに彼女にはもう一つ疑問があった。それはFacebookは広告主に政治広告を実行することを確認し、チェックマークと「Paid for by」ラベルを付与していたことだ。これが、Facebookが事実を確認したり、誤った情報の拡散を止めようとしたりしていないにもかかわらず、コンテンツの妥当性を保証している誤った印象を与える可能性についても、彼女は社内で問題提起した。

彼女の意見は周囲の従業員の大半から賛同を得られたが、経営陣にはそれを実行する意欲がなく、むしろ彼女が混乱をもたらしていると判断したと、彼女は綴っている。経営陣は、非常に重大な問題を解くためのEisenstatのチームが提案したいくつかの解決策を拒絶した。

最終的に、彼女はそのために雇われた仕事をする権限を与えられないまま、6ヶ月以内に同社を去った。 政治広告における誤情報と戦うという私たちの提案を、上流の誰かが検討したことがあるかどうかはわからない。

彼女の主張は、少なくとも一部のFacebookの従業員の賛意を得ていたのは間違いがない。ポリシーに反対する250人以上のFacebook従業員が2019年10月下旬に異議申立書に署名したとNew York timesのMike Isaacが報じた。

異議申立書にはこのように記されている。

「言論の自由と有料の言論は同じものではありません。誤情報は私たちすべてに影響を与えます。政治家や政権に立候補する人々の事実確認に関する現在の方針は、FBが代表する価値観に対する脅威です。 私たちはこのポリシーが現状のままであることに強く反対します。 ポリシーは言論の自由を保証していません。むしろ、政治家が投稿したコンテンツは信頼できると信じている人をターゲットにすることで、政治家がプラットフォームを武器化できるようにしています」

Facebookの現在のポリシーについては、政治家が広告で嘘をつくことを許可していると表現刷ることも可能だ。彼女は「Facebookが健全な議論よりも利益を優先している限り、民主主義を損なうことは避けられない」と表現する。政治広告へのファクトチェックは、Facebookが政治広告で得られる収益を減少させる可能性が高い(それだけ誤情報を含んだ広告が多い)。Facebookの収益のほぼ全ては広告からもたらされている。

Eisenstatや従業員の主張に奇妙な点はひとつもなく、Facebookの方針に奇妙な点があるように見える。今年の米大統領選挙でも、2016年の悪夢が再来するのだろうか。

参考文献

Yael Eisenstat. I worked on political ads at Facebook. They profit by manipulating us. The Wachington Post.

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