ビッグテック、競合企業を買い漁る

米ビッグテック企業は買収を繰り返し、競合企業の芽を摘んでいると非難されるが、その買収の規模が過去最大に達した。特に当局のレーダーに引っかからない小規模買収が活発化している。

ビッグテック、競合企業を買い漁る

要点

米ビッグテック企業は買収を繰り返し、競合企業の芽を摘んでいると非難されるが、その買収の規模が過去最大に達した。特に当局のレーダーに引っかからない小規模買収が活発化している。


フィナンシャル・タイムズ紙が分析したRefinitiv社のデータによると、ハイテク企業は2021年に入ってから少なくとも2,640億ドルを投じて10億ドル以下の潜在的なライバル企業を買収しており、これはドットコムブームの2000年に記録された過去の記録の2倍にあたるという。

FTのデータ分析によると、近年ディールメイキングのペースが上がっている。今年に入ってから、テクノロジー企業が10億ドル未満の新興企業を買収するために行った取引は9,222件にのぼり、2000年の水準を約40%上回っている。

2021年には、あらゆる規模のテクノロジー関連のM&Aが過去最高を記録したが、これはパンデミック中に何百万人もの人々がインターネットやeコマースを利用するようになったことで、企業がデジタル化を加速させたことが一因だ。

FTが引用したRefinitivのデータによると、報告基準額である9,200万ドル未満の案件も今年は過去最高を記録し、この規模の資産を買収するために8,451件、660億ドルが投じられ、前年比35%増となっているという。

FTCの報告書

米連邦取引委員会(FTC)は先週、2010年から2019年までのハイテク企業のM&A活動に関する調査結果を発表した。調査では、2010年1月から2019年12月の間に、Alphabet/Google, Amazon, Apple, Facebook, Microsoftが、報告の義務のない小規模の819件の買収を行ったことが明らかになっている。取引の規模以外にも、買い手が支配権を獲得していない国境を越えた取引が除外されている可能性がある

5社は、10年間で合計819件の非HSR報告対象取引を実行しており、回答者1社あたりの平均取引件数は約164件となった。819件の取引のうち、最も多かったのは議決権行使による支配権の取得で382件、次いで資産の取得が150件、雇用が101件、特許の取得が91件となった。

FTCの報告書によると、Alphabet/Google, Amazon, Apple, Facebook, Microsoftは、100万ドル以上、報告義務のしきい値である9,200万ドル未満価値のある616件の買収を行い、そのうち75%以上がターゲット企業の創業者や主要従業員に対する競業避止条項を含んでいた。また、資産の年齢を示す取引の少なくとも40%は、設立から5年未満の企業を対象としていた。

ビッグテック企業は毎年、一定数、報告義務のない小規模の買収を行っている。
ビッグテック企業は毎年、一定数、報告義務のない小規模の買収を行っている。

また、買収先の創業者や従業員へのインセンティブや規定についても工夫が感じられる。報告書によると、79%以上の取引が創業者や主要な従業員に対して、取引に伴う報酬を採用。高額の取引ほど報酬を採用する傾向があるという。

75%以上の取引において、被買収企業の創業者および主要従業員に対する競業避止義務が設定されている。高額な取引ほど、競業避止義務条項を使用する傾向があったという。

FTCは、FacebookによるInstagramとWhatsAppの買収を調査しており、裁判所がFTCの訴えを棄却した後も、再度証拠を提出して、再提訴する力の入れようだ。潜在的な競合企業を買収し、市場セグメントにおける独占を強化する「キラーアクイジション(キラー買収)」には、イノベーションを阻害し、利用者の便益の改善を低迷させる恐れが指摘されている。

FTCは他の取引についても、買収後に遡及的に精査する可能性があると警告している。同委員会は、違法と判断した場合には取引を取り消し、将来的には他の取引を阻止する権限を持っている。

参考文献

  1. Non-HSR Reported Acquisitions by Select Technology Platforms, 2010-2019: An FTC Study. FTC, Bureau of Commission. September 2021.
  2. Cunningham, Colleen and Ederer, Florian and Ma, Song, Killer Acquisitions (April 19, 2020). Journal of Political Economy, Vol. 129, No. 3, pp. 649–702, March 2021 , Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3241707 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3241707

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