Google、新型検索を開発中 サムスンのBing採用の動きで社内に衝撃

Googleは新型検索を開発しているようだ。並行して既存の検索を支援するAIを5月に発表する。世界最大級のスマホメーカー、サムスンがデフォルト検索をBingに乗り換えるか検討しており、切迫感が伝わってくる。

Google、新型検索を開発中  サムスンのBing採用の動きで社内に衝撃
2023年1月30日(月)、米カリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogle本社。Photographer: Marlena Sloss/Bloomberg

Googleは新型検索を開発しているようだ。並行して既存の検索を支援するAIを5月に発表する。世界最大級のスマホメーカー、サムスンがデフォルト検索をBingに乗り換えるか検討しており、切迫感が伝わってくる。


サムスンは、Galaxy端末のデフォルト検索をMicrosoftのBingに移行することを検討している、とニューヨーク・タイムズは報じた

Googleは3月に、サムスンがGalaxy端末のデフォルト検索エンジンをBingにするためにマイクロソフトと交渉中であることを知り「パニック」に陥ったとされる。

サムスンのデフォルトがBingに転換すれば、Googleのビジネスは衝撃を受けるだろう。サムスンは台数ベースで世界最大の携帯電話メーカーである。調査会社Counterpointのデータによると、2022年第4四半期時点で、全世界の出荷台数の市場シェア2位(19%)、2021〜2022年の8四半期のうち5四半期で首位だった(図表参照)。

デフォルト検索の地位は、サービスにトラフィックを呼び込むためにあまりにも重要である。Googleは、世界中で使用されている10億台以上のiPhoneやその他のApple製デバイスのデフォルト検索となるために巨額を支払っている。バーンスタインのアナリストは、2021年に支払い額は年間150億ドルに達したとし、2022年には年間180億~200億ドルに達する可能性があると推定したことがある。

この契約を焦点に独占禁止のかどでGoogleを提訴した司法省は、訴状のなかで、Appleに年間最大120億ドルを支払っていると主張した。Googleのこのような巨額の支払いは他の検索製品を競争から排除するのに役立っているというのが司法省の論理だった。

Googleとサムスンは、サムスンのAndroidカスタマイズをめぐって以前から衝突していた。音声アシスタントを巡っては、SamsungはBixbyを顧客にとって最も利用しやすい選択肢にしようと専用ボタンを搭載したが、GoogleはGoogle Assistantを採用するよう求めていたとブルームバーグは報じていた。

全く新しい検索エンジン

Googleは、新しいAI技術を搭載した「全く新しい検索エンジン」の構築を進めているという。「新しい検索エンジンは、同社の現在のサービスよりもはるかにパーソナライズされた体験をユーザーに提供し、ユーザーのニーズを先取りすることを試みる」とニューヨーク・タイムズは報じている。

新しい検索エンジンは、「ユーザーが何を検索しているかに基づいて、ユーザーが何を知りたいかを学習する」。さらに、「買うべきモノ、調べるべき情報など、あらかじめ選択された選択肢のリストを提供する」ようになるという。

同時にプロジェクト名「Magi」として、現在の検索エンジンにAIに基づく新しい機能を追加する作業も行っているそうだ。 Googleでは現在、160人以上のデザイナー、エンジニア、幹部、その他のスタッフがMagiに取り組んでいる。先週、従業員はGoogleの検索エンジンに搭載されるMagiのテストに招待されたという。年次開発者イベントが開催される2023年5月に。ローンチされる可能性がある。このローンチでは、Magiは限られた機能でほぼ裸の状態で登場し、この秋にはより多くの機能が登場する予定だという。

Magiは、検索者が靴の購入や航空券の予約などの取引を完了できるようにするとのことだ。これは、検索者が金融取引を完了できるようにするもので、現在Google検索が莫大な利益を上げている既存の検索広告を取り入れながら、すべてを行うことができる。

これらの変更により、検索者は「ソフトウェアのコーディングや、ユーザーのリクエストに基づいたコードの記述」に関する質問に答えることができるようになる。「文書によると、Googleはコードの回答の下に広告を配置する可能性がある」と報道は付け加えている。

Read more

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

Fastlyは、LLMのAPI応答をキャッシュすることで、コスト削減と高速化を実現する「Fastly AI Accelerator」の提供を開始した。キップ・コンプトン最高プロダクト責任者(CPO)は、類似した質問への応答を再利用し、効率的な処理を可能にすると説明した。さらに、コンプトンは、エッジコンピューティングの利点を活かしたパーソナライズや、エッジにおけるGPUの経済性、セキュリティへの取り組みなど、FastlyのAI戦略について語った。

By 吉田拓史
宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

Google Cloudは10月8日、「自治体におけるゼロトラスト セキュリティ 実現に向けて」と題した記者説明会を開催し、自治体向けにゼロトラストセキュリティ導入を支援するプログラムを発表した。宮崎市の事例では、Google WorkspaceやChrome Enterprise Premiumなどを導入し、災害時の情報共有の効率化などに成功したようだ。

By 吉田拓史
​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

Google Cloudが9月25日に開催した記者説明会では、イオンリテール株式会社がCloud Runを活用し顧客生涯価値(LTV)向上を目指したデータ分析基盤を内製化した事例を紹介。従業員1,000人以上がデータ分析を行う体制を目指し、BIツールによる販促効果分析、生成AIによる会話分析、リテールメディア活用などの取り組みを進めている。

By 吉田拓史
Geminiが切り拓くAIエージェントの新時代:Google Cloud Next Tokyo '24, VPカルダー氏インタビュー

Geminiが切り拓くAIエージェントの新時代:Google Cloud Next Tokyo '24, VPカルダー氏インタビュー

Google Cloudは、年次イベント「Google Cloud Next Tokyo '24」で、大規模言語モデル「Gemini」を活用したAIエージェントの取り組みを多数発表した。Geminiは、コーディング支援、データ分析、アプリケーション開発など、様々な分野で活用され、業務効率化や新たな価値創出に貢献することが期待されている。

By 吉田拓史