Google DeepMindの卒業生がAIスタートアップ創業者の「マフィア」を形成

近年、Google DeepMind の元従業員の多くが、独自のAI企業を立ち上げている。これらの企業は、生成AI、気候テック、ライフサイエンスなど、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

Google DeepMindの卒業生がAIスタートアップ創業者の「マフィア」を形成
Source: Google DeepMind

近年、Google DeepMind の元従業員の多くが、独自のAI企業を立ち上げている。これらの企業は、生成AI、気候テック、ライフサイエンスなど、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。


米メディアInsiderの記事によると、200人以上の元Google DeepMind従業員が、AI、暗号通貨、バイオテクノロジー、気候テックなどの分野でスタートアップを立ち上げ、大量の資金を調達している。Insiderの取材に応じた何人かは、英国に拠点を置くDeepMindの領域外のAI分野、特に生成型人工知能(プロンプトや入力からコンテンツを生成するAI)が急速に発展しているため、従業員が退職したと語った。

主だったスタートアップの創業者、すなわちDeepMindマフィアは以下の通り。

  • 共同設立者であるムスタファ・スレイマンは、Piと呼ばれるチャットボットを開発しているスタートアップ、Inflection AIの設立者の一人である。同社は6月、MicrosoftやNVIDIAを含む投資家から13億ドルを調達したと発表した。
  • 元リサーチャーであるジョナサン・ゴドウィンは、AIを使って炭素回収を解決する新興企業Orbital Materialsの創業者である。
  • 元リサーチャーで、画期的なAlphaFold 2プロジェクトを担当していたサイモン・コールは、生物学の生成モデルや分子間相互作用の基礎モデルを構築する新興企業Latent Labsの創業者である。
  • DeepMindの卒業生が設立したAIスタートアップのMistralは、立ち上げからわずか4週間でLightspeedから1億1,300万ドルのシード資金を確保した。
  • 元リサーチサイエンティストであるAdji Bousso Diengは、アフリカのSTEM教育を改善するために非営利団体The Africa I Knowを設立した。
  • 元リサーチエンジニアであるMiljan MarticとPeter Tothは、Web3とブロックチェーン向けのAIアプリケーションを開発するKosen Labsを立ち上げた。
  • 元リサーチャーのJack Kellyは非営利団体Open Climate Fixを創業し、Googleの支援を受けている。
  • 2014年にDeepMindがDark Blue Labsを買収した際に入社した、リサーチャーのKarl Moritz Hermannは、言語研究グループを立ち上げ、 2020年4月まで働いた後、AIパーソナルアシスタントを開発するSaigaを創業。
  • 元リサーチャーのTrevor Backは「抜本的により良い明日」のためのAI開発を約束する新しいベンチャー企業Shift Labを創業。
  • 元ソフトウェアエンジニアのアンドリュー・イーランドは、DeepMindの上級職を辞め、都市計画コンサルタント会社Diagonalを立ち上げた

創業者たちはAIの性質を鑑みて「B to Bの文脈で高度に専門化された製品」を構築することが多いと、Moritz Hermannはinsiderに対して語ったという。

IPOマーケットの停滞により、全世界のベンチャー投資の規模は、未曾有のブームだった2021年以前の規模に戻った。しかし、AI領域はその中で唯一気を吐いている領域と言っていいだろう。

AI新興企業への投資の先導者

DeepMindの元社員は、最先端のAIソリューションを開発するスキルと経験を持っているため、この機会を利用するのに有利な立場にある。彼らはAIスタートアップへの投資を行っている。彼らのお墨付きは、ベンチャーキャピタルに自信を与える。

  • スレイマンが設立したInflection AIは、総額15億ドルの資金を調達。スレイマンは10社以上のAIスタートアップに投資している。
  • DeepMind共同創業者のハサビスは3社に投資している。
  • Google DeepMindのディレクター兼製品責任者であるMehdi Ghissassiは、DeepMindの元従業員が設立したスタートアップGlyphicAIに投資した。GlyphicAIの共同設立者のDevang Agrawalは、Google DeepMindの幹部が提供する価値は金銭的なものだけでなく、研究分野での仕事から得た実質的な専門知識も重要であると述べた。

Googleが2014年に推定5億ドルでロンドンを拠点とする新興企業を買収して以来、DeepMindはボードゲームで人間のチャンピオンに勝ったり、構造生物学の基本的な問題を解決しようとしたり、コードを書いたり、核融合研究を支援したりする人工知能アルゴリズムを生み出してきた。最近、Google Brainとの合併により「Google DeepMind」の一部門となった。DeepMind共同創業者のデミス・ハサビスは、Google DeepMindのCEOとなり、GoogleのAI部門を率いるようになっている。

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アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史
新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)