
米西部の干ばつは過去12世紀で最悪との調査結果も
【ニューヨーク・タイムズ】米西部の干ばつはどれほどひどいのか?過去12世紀で最悪との調査結果が出た。気候変動の影響を受け、2000年に始まった干ばつは、西暦800年以降で最も乾燥した20年間となっている。
【ニューヨーク・タイムズ、著者:Henry Fountain】アメリカ南西部の大干ばつが深刻化し、この地域では少なくとも1,200年ぶりに最も乾燥した20年間になったと、科学者が2月中旬に発表した。
2000年に始まったこの干ばつは、水の供給量を減らし、農家や牧場主に壊滅的な打撃を与え、地域全体の山火事の燃料となっており、これまでは過去500年間で最悪の事態と考えられていたという。
しかし、2021年の夏、西部の約3分の2が極度の干ばつに見舞われた例外的な状況が、「それを一気に押し上げた」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の気候科学者で、木の年輪のデータを使って干ばつを評価する分析を担当したA・パーク・ウィリアムズは述べている。その結果、2000年から21年までの22年間は、データが残っている西暦800年以降で最も乾燥した期間になった。
また、人為的な温暖化が今回の干ばつに大きな影響を与えていることも分かった。
ウィリアムズは「気候変動とは関係なく、干ばつは起こっていた。しかし、その深刻さは、これまでの60%程度にとどまっていた」と語っている。
ミシガン大学の気候科学者で、今回の研究には関与していないジュリー・コールは、今回の結果は驚くべきものではないが、「今回の研究によって、現在の状況がいかに異常であるかが明らかになった」と述べている。
コールによると、今回の研究では、例外的な干ばつを引き起こす要因として、降水量よりも気温が重要であることが確認されたという。降水量は時間の経過とともに増減し、地域によっても異なるとコールは言う。しかし、人間の活動によって温室効果ガスが大気中に放出され続けると、気温はより一般的に上昇する。
気温が上昇すると、基本的に空気は土壌や植生、作物、森林から水分を奪う力が強くなる」とコールは言う。「そして、干ばつの状態がより極端になるのだ」。
「メガドラウト(大干ばつ)」の定義は統一されていないが、一般的には数十年単位で深刻かつ長期にわたる干ばつと考えられている。しかし、メガドラウトであっても、湿潤な状態が続く期間もある。ただ、干ばつを終わらせるだけの連続した雨の年がないのだ。