高インフレはどう収束するのか - ポール・クルーグマン
70年代型のスタグフレーションの再来を警告する人々もいるが、もっと注意深く歴史を見るべきだ。2021-22年のインフレは、1979-80年のインフレとは全く異なり、解決もはるかに容易であるように見える。

【著者:Paul Krugman】物価上昇はなかなかうまくいかない。ロシアのウクライナ侵攻により、石油、小麦などの価格が高騰している。住居費に関する公的な指標は、昨年新たに借りられたアパートの価格上昇をまだ十分に反映していない。つまり、まだ多くのインフレが進行中なのだ。
しかし、連邦準備制度理事会(FRB)は、高インフレは一時的な現象に過ぎないと考えている。さらにFRBは、比較的痛みを伴わずにインフレを低下させることができる、いわゆるソフトランディングを達成できると考えている。
しかし、これは歴史に反しているのではないだろうか。アメリカが最後に高インフレを抑制しなければならなかったのは1980年代であり、その代償は甚大であった。失業率は10.8%まで上昇し、1979年の水準に戻ったのは1987年である。今回は違うと信じるに足る理由があるのだろうか。