トランプ氏が大統領就任後に行った様々な政策が科学に甚大な損害を与え、その回復には数十年を要する、と英科学誌ネイチャー記者のジェフ・トレフソン(Jeff Tollefson)が主張している。

「トランプ氏は、マスクや社会的距離を置くことの必要性を軽視し、一方で、病気の感染を止めることを目的としたロックダウンのルールに抗議するよう人々に奨励してきた。彼の政権は、ウイルスを研究し、その害を減らすために働いている政府の科学者たちを弱体化させ、弾圧し、検閲してきた」とトレフソンは記事のなかで書いている。「そして、彼の任命者は、米国疾病管理予防センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)を政治的な道具にして、不正確な情報を発表し、誤った保健指導を行い、COVID-19のための実証されていない、有害な可能性のある治療法を宣伝するように、機関に命令した」。

11月3日に再選を目指すトランプ氏のCOVID-19に対する行動は、過去4年間に科学とその機関に与えたダメージの一例に過ぎず、人命と生活に影響を与えている。大統領とその任命者たちはまた、温室効果ガスの排出を抑制するための努力を後退させ、汚染を制限する規則を弱め、米国環境保護庁(EPA)における科学の役割を低下させてきた。政策の専門家によれば、多くの機関において、政策決定を裏付けるために証拠を抑圧したり歪曲したりすることで科学的な整合性を損なっているという。

「トランプ氏はまた、孤立主義的な政策とレトリックによって、グローバルな舞台でのアメリカの地位を蝕んできた。多くの訪問者やヨーロッパ以外の移民に対して国の門戸を閉ざすことで、トランプ氏は外国人留学生や研究者に対して米国をより魅力的ではない国にしている。そして、世界保健機関(WHO)のような国際機関を悪者にすることで、トランプ氏は世界的な危機に対応するアメリカの能力を弱め、国の科学を孤立させてしまった」。

トランプ氏は国際的な気候変動対策に対しても打撃を加えてきた、とトレフソンは主張している。

トランプ政権は昨年、パリ協定からの離脱を正式に申請しており、米国の離脱は大統領選挙の1日後の11月4日に正式に行われる。トランプ氏がパリ協定に関する決定を発表した後、環境保護局の任命者たちは、バラク・オバマ前大統領の下で行われていた気候政策の解体に着手。その最たるものが、発電所や自動車からの温室効果ガス排出を対象とした一対の規制だった。

「過去15ヶ月の間に、トランプ政権は、この2つの規制を根こそぎ破棄し、産業界のコストを節約し、排出量の削減にはほとんど貢献しない、より弱い基準に置き換えてきた」。

「場合によっては、産業界でさえも規制緩和に反対していた。トランプ政権の取り組みは、フォードやホンダなど数社の自動車メーカーからの反対を促したが、昨年、より積極的な基準を維持するためにカリフォルニア州との間で別の協定を結んだ。最近では、エクソンモービルやBPなどのエネルギー大手が、石油・ガス会社に強力な温室効果ガスであるメタンの排出量を制限・削減することを義務付ける規制を弱めるという政権の動きに反対している」。

Photo: "Donald Trump"by Gage Skidmore is licensed under CC BY-SA 2.0