大型IPOの失敗率が高い

今年の大型IPOでは発行価格を下回るケースが相次いでいる。潤沢な資金によってユニコーンの規模が急拡大しているが、それに伴って膨らみすぎた風船が弾ける確率は上がっている。

大型IPOの失敗率が高い
"NASA Rings Nasdaq Closing Bell after InSight Landing on Mars (NHQ201811260104)"by NASA HQ PHOTO is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

要点

今年の大型IPOでは発行価格を下回るケースが相次いでいる。潤沢な資金によってユニコーンの規模が急拡大しているが、それに伴って膨らみすぎた風船が弾ける確率は上がっている。


11月初め、Paytmの創業者であるビジェイ・シェカー・シャルマは、南インドの丘陵地帯にあるティルパティを訪れた。インド史上最大のIPO(新規株式公開)を行う前に、「神の祝福を求める」には、幸運と自らの富をもたらすことで有名なティルパティ寺院が適していた。

しかしIPOは台本通りにはいかず、フィンテックの株は公開から2日間で3分の1以上も急落し、インドの株式市場史上最悪のデビューとなった。25億ドルを調達し、200億ドルと評価されたこの株式は、その後回復したが、発行価格の約23%下回ったままだ。

売り出し株と新規発行株の総額で25億ドルと、同国IPO史上最大の買い付け募集に対し、1.89倍の応募があった。今年インドのテック企業のIPOでは応募倍率が数十倍に上る過熱状況が続いていたが、Paytmへの市場の反応は冷めていた。

6月に発表した2021年1-3月期の業績は、前年度比10%減となったが、販売促進費などを大幅に削減し、最終的な赤字額は前年度比40%減の170億ルピー(約260億円)となった。赤字の削減は評価されたが、収益の伸びを重視する投資家には嫌われた。さらに心配されたのは、中期的な収益性だ。Paytmが黒字になる日は来るのだろうかということだ。

Paytmは21年度の収益の49.7倍で評価されていた。Paytmの決済ベースのビジネスモデルは、政府が支援するインド国立決済公社(NPCI)が開発したリアルタイムのリテール決済システムであるUnified Payment Interface(UPI)によって破壊された。

UPIは2019年12月に消費者と加盟店の両方に向けて開始され、PaytmのGMV(商品総価値)の65%を占めているが、26年度までにはさらに85%まで増加すると予想している。Paytmは独自決済基盤とUPIの双方をサポートしているものの、UPIアプリの地位を固めたPhonePeとGoogle Payに大きく溝を開けられた。

IPOの大失敗により、Paytm、その株主であるソフトバンクとアントグループ、IPOのブックランナーであるゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティグループに注目が集まっている。また、投資家や起業家の間では、インドが米国や中国に次ぐハイテク新興企業の主要な進出先としての地位を確立するために期待されていた、一連の新規株式公開が頓挫するのではないかという懸念が広がっている。

インドのフィンテック企業であるMobiKwikはPaytmの暴落の後、当初11月に予定していたIPOを延期し「適切な時期に上場する」と発表した。

競合のフィンテック企業BharatPeの共同創業者であるAshneer Groverは「Paytmの上場の失敗は、インドにおけるIPOの熱狂的なサイクルを終わらせるものだ」と公式に批判した。「私は投資家に、Paytm以前とPaytm以後の2つの市場が存在するとよく言っていた。理由はいたってシンプルで、PaytmのIPOの価格設定が間違っていたからだ」。

49%が発行価格下回る

この傾向は世界的なものだ。FTが引用したDealogicのデータによると、ロンドン、香港、インド、ニューヨークで今年行われた10億ドル以上の資金調達を行ったIPO43社のうち、49%が発行価格を下回って取引されている。

これに対し、2019年に上場した大型IPOのうち、約33%が市場に出てから1年後に発行価格を下回っており、2020年に上場したIPOのうち27%が取引開始から1年後に発行価格を下回っているという。2021年は失敗案件の割合が顕著に高まった年となった。

失敗したIPO企業の中には、英国のフードデリバリーアプリDeliverooや代替食品メーカーのOatly、インドの決済大手Paytmなど、上場した中でも特に有名な企業が含まれている。

投資家は過去10年間で、公開市場よりも高いリターンを求めて、プライベート・エクイティ・ファンドに200兆円以上の資金を投入してきた。しかし、コンサルティング会社のBainによると、2009年以降、米国の公開株式のリターンは、米国のバイアウトのリターンと15%程度で一致している。この同等性は、プライベート・エクイティ・ファンドに、次の取引に移るために資本をより早くリサイクルするよう圧力をかけているようだ。つまり、投資先を早くIPOさせ、投下資本を流動化し、次の投資に回そうとする傾向があるということだ。

FTによると、ゴールドマンサックスは今年、10億ドル以上を調達した13件の案件を主導したが、そのうち9件が赤字となっている。その中にはDidiや米国の株式取引プラットフォームRobinhoodも含まれている。ライバル銀行のモルガン・スタンレーが主導した14件のうち、Paytmを含む6件はIPO価格を下回る価格で取引されていた。

しかし、それでも新規株式の大量発行には歯止めがかからない可能性が高い。近年のベンチャーキャピタル投資に投下された資本の量は未曾有のものであり、それらは常に出口をさがしているからだ。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

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By エコノミスト(英国)